米ゼネラル・エレクトリック(GE)や米IBM、アジアでも韓国サムスン電子、LG電子、中国ファーウェイといった世界各国を代表するIT関連企業は、IIC等のコンソーシアムを組むなど、他社と相互に力を生かしあいながら臨むことを鮮明にしています。自社だけでは実現できないから、共通化できる基礎となる基盤(プラットフォーム)は標準化し、仕組みやサービスを生み出すことを競争領域としようとしています。

 この反面、日本の大手IT企業と言われる企業のほとんどは、コンソーシアムなどに参画してはいますが、コンソーシアムに参画している世界の他の企業とは目的が異なり、世界の大手が共通化しようとしているはずのプラットフォームを、日本のIT企業は個別に提供する意向で、そこで顧客を囲い込んで勝負しようとしているようです。

 世界が共通化しようとしているプラットフォームを、わざわざ個別にするような戦略が、本当に正しいのかどうか、疑問があります。しかも、IoTというのは、インターネット上で繋がることに意味があるので、囲うという発想とは本質的に相性が悪いのです。基盤となるプラットフォームの上で、どのような仕組みやサービスを生み出すのかが勝負の場のはずであり、ユーザーの価値を上げることが目的になります。

自動車会社の顧客は誰に?

 例えば、タクシーの配車関連サービスを手掛ける米ウーバーテクノロジーズや、宿泊施設の貸借サービスを手掛ける米エアビーアンドビー、仮想的なITインフラ提供の中国アリババ集団といった、新たな事業の形態ができるといったことです。

 ウーバーなど、タクシー関連会社なのに、タクシーは1台も持たず、運転手も1人も抱えずにサービスを提供しています。それでいながら、世界最大のタクシー関連会社になっています。

 日本でこうしたサービスを生み出そうとすると、ITの活用の仕方の前に、まず許認可の問題が出てくるかもしれません。

 例えば、ウーバーのサービスならば、タクシーの営業は国土交通省、タクシーとなる自動車については経済産業省の自動車関連の組織、通信はまた別の組織というように、一つの事業なのに、行政の担当が別々になっています。どこにどのような認可を得るのか、スムーズに進まないのが目に見えるようです。

 これでは、オープンイノベーションによるエコシステムは生まれにくいと思います。企業だけでなく、行政の変革も急がなくてはなりません。

 こうした従来にない仕組みやサービスを作り出せるのが、ITの真骨頂です。オープンイノベーションは、こうした業際を超えた仕組みやサービスを生み出す時に、自社だけでは不足する技術や知見を、他社と相互に活かしあいながら実現していく取り組みで、ほぼ必然的にITのこうした力を借りることになります。

 端的に言うと、ウーバーに最も脅威を感じている企業は、自動車メーカーかもしれません。「モノづくり」をして、タクシー会社に納車する、という事業モデルが成り立たなくなるからです。顧客が誰で、どこにいるのか、見えなくなってしまいます。

 こういったことが起きるのが、ITによるオープンイノベーションです。