この二つは、わかりやすいと思います。「ものづくり」から「ことづくり」への変革の必要性を指摘してきたシリーズでも、大きく紹介してきた部分です。

 iTunesでいうと、まずアップルの音楽プレイヤーやスマートフォン、パソコンといったハードウエアは、利用する環境として使いはしますが、これらの機器という「もの」を販売するよりも、音楽などのソフトウエア販売・管理ツールとしてのiTunesを通じた展開の方に重要性があり、事業としての継続性もあります。

 次は、従来の「消費型(consumption)」から、「保存・維持型(preservation)」に、また、従来の「エネルギー・資源集中(energy and resource intensive)」から、「知識中心(knowledge intensive)」に、それぞれ移るという特徴です。

 これも、「大量生産指向」や「製品型」から、「価値創造指向」や「サービス型」への変化と関連する部分です。iTunesでは、音楽などのソフトウエアで成り立っている世界ですので、完全に「保存・維持型」、「知識中心」となっています。

 従来の「毒物・危険物に頼る傾向(inherently hazard/toxic)」から「安全にこだわる傾向(inherently safe)」に、従来の「化学・物理型(chemistry and physics)」から「生物学・情報型(biology and information)」に、というのも共通する部分が多い項目といえます。

 「ものづくり」産業に限ってみても、20世紀型といえる、化学物質をふんだんに使って、力ずくで大量生産していくような方向から、知恵を尽くして適切な作り方に変えていくような方向です。

「直線的」から「循環的」なモデルへ

 次に、従来の「直線的(linear systems)」の事業モデルから、オープンイノベーション2.0による事業モデルでは、「循環的(circular systems)」に変わっていくという点です。

 直線的というのは、例えば、1社が一方通行的に製品やサービスを展開していくような状況を指しています。アップルが、携帯型音楽プレイヤーやスマートフォン、パソコンを売っているだけの時代には、「直線的」な事業モデルでした。

 ところが、iTunesという仕組みの登場で、iTunesというプラットフォームを通じて、アップル以外の企業や団体が、音楽などのソフトウエアを販売したり、さらにその先のサービスを提供するようになってきたりしています。携帯型音楽プレイヤーやスマートフォン、パソコンといった機器、さらに、iTunesというプラットフォームも、これらのソフトウエアやサービスを提供したり活用したりするための媒体に過ぎません。

 ここで、一直線ではない事業モデルとなっています。完全な「循環型」ではありませんが、「直線的」な枠組みからは脱却しています。

 「独占型(proprietary)」から「オープン型(open)」へ、さらに、「組織化(organization)」から「エコシステム化(ecosystem)」への変化も、いま見たような「直線的」から「循環的」への変化と重なる部分が大きい要素です。

 「組織化」から「エコシステム化」というのは、企業同士の連係や連合のような、ある程度、固定された状況の中で事業が完結するような事業モデルから、生態系のように広がりをもち、幅広い企業やサービスによって1つの社会システムが成り立つような環境が、事業モデルとなっていくような状況を指します。

 これも、iTunesが象徴的です。