前回に続き、米エマソン・エレクトリックの日本法人である日本エマソンの顧問で前日本代表であった土屋純さんに、エマソンにとっての「もの・ことづくり」について伺います。土屋さんは、「ものこと双発協議会」の理事として議論に参加いただいています。

田中:「もの・ことづくり」を支えるのは、「人づくり」ということですね。

土屋:ものこと双発協議会の研究会ワーキンググループの調査で、面白いことがわかりました。「もの・ことづくり」で先行している約30社の特徴を、公開情報から調べました。

 何らかの傾向が出てくると予想していたのですが、類型化できそうなパターンA、パターンBといった兆候は出てきませんでした。1つだけ、共通だったのは、成功している企業や事業はすべて、当初の計画通りに順調に進んでいなかったこと、例えば、3年後に花が開き、現在は市場で大きなシェアを獲得している、という変遷を歩んでいなかったことです。

土屋純・日本エマソン顧問

 失敗したり、挫折しかかったり、期待が大きい中、大きな組織でスタートしたものの、途中で予算が削られて担当者が三人まで絞り込まれたり、人を集められないために、研究開発を諦めて直接、市場にアイデアを持ち込んで顧客の声を聞く活動から始めたり――など。いずれも順調ではない道のりを歩んでいました。

 オープンイノベーションという言葉がありますが、自社で投じることができる経営資源(リソース)が足りない時に、いかに社外のリソースを使って実現していくのか、といった発想を持てるかどうかが問われます。

 日本は、自前主義が強い歴史があり、それが強みでした。「ものづくり」に向く自前主義を捨てなければいけない時代に入っていることを、調査からも実感しました。

 とはいえ、そこに知恵がなければ、すべて外部に成果を持っていかれてしまいます。そこで、自前主義を捨てる前提で、自分たちが何を武器に生き残っていけるのか、考えておかねばなりません。

 また、「もの・ことづくり」とは何か、定義はあまり意識しなくて良いのではと思っています。「もの+サービス」でも良いし、「もの+IT」でも良いし、単純な「もの」売りではないところに入っていくのが「こと」です。

 違う言い方をすると、異業種、異分野の異なるファンクションを持つ人たちの知恵を入れていくことと言えます。異業種の知恵を、どのように加えていくのかは、「もの・ことづくり」では避けて通れないと感じます。