ITの第2の波は、パソコン(PC)の普及です。クライアント・サーバー(特定の役割を集中的に担当するサーバーと、利用者の操作する端末に役割を分けたコンピューティング手法)の時代に入ります。そこでは、ハードウエア単体に近かった従来のシステム構成に比べて、設計や構造が複雑になるので、ソフトウエアなどのミドルウエアにも注力していくことになります。

 次の第3の波は、インターネットの登場です。IBMは「e-ビジネス」と呼んでいました。ビジネスや業務のさまざまな場面に、インターネットの活用を広げるものです。これまでのサーバーや業務ごとに構築されたシステムや応用アプリケーションを、インターネット上で提供することや、それらを統合的に開発・提供するシステム・インテグレーションが益々、重要になった時代です。また、ハードウエアから、ソフトウエア、アプリケーションまで管理も含めてアウトソーシングが登場しました。

 第4の波は、ビッグデータ、モバイル、ソーシャル、クラウドなど、複数の新しい動きが同時に起こっているITの新潮流です。これは、ビジネスや事業へのITの利用方法を、これまでの方法から大きく変えることにもつながります。この新しい波を、いかに効果的に利用し、活用し、スピードと柔軟性を持って対応するかが非常に重要になってきます。

課題解決型の新しいコンピューター

 そのための大きな戦略の1つとしてIBMが位置づけているのは、「コグニティブ・ビジネス」です。ワトソンは、その実現のための技術とソリューションの中核となっています。よく人工知能(AI)と比べられますが、異なるものです。

 これまでは、人が、コンピューターにさせたい仕事を定義し、設計し、プログラムを開発し、処理に必要なデータを用意し、実行してきました。ところが、現在は、ビッグデータと呼ばれるように、データの量は爆発的に増え、データの種類も増えています。また、データの生成と処理速度は高速化しています。さらに、モバイルやソーシャルも含めITを使いたい場面や業務、アプリケーションは飛躍的に増えています。もはや、人がプログラムを作成し、必要なデータを集めて、実行するようなやり方では追いつきません。

 そこで、IBMは、課題解決型の新しいコンピューターの実現を目指しています。人がプログラムを作成し、コンピューターに処理させるのではなく、解決したい課題を与えると、コンピューター自らが、必要なデータを集め、計算のロジックも最適化するコンピューターです。こうした構想を、IBMは「コグニティブ・コンピューティング」と呼んでいます。

 コグニティブ・コンピューティングの先駆けとして、 2011年にすべてのジャンルに対する質問応答システムとしてワトソンが登場しました。米国で50年間以上続いている人気クイズ番組「ジョパディ」で、二人の歴代チャンピオンと対戦し、勝利することができました。その後、医療、金融、保険など、各分野でワトソンの実利用の共同開発を進めました。そして、2014年1月に、コグニティブ・コンピューティングをブランド化したワトソン事業部を設立しました。

 もう一つの大きな戦略の転換は、データやコンテンツの保有です。IBMは、従来、アプリケーションやデータそのものは所有しませんでした。しかし、ITにおける第4の波を最大限にリードするためには、IBM自身がデータや知見、コンテンツ、知識を持つことだと考えています。

次ページ 年ごとの重要技術はグローバルで集約