だからといって、諦めるわけにはいきません。

 整理整頓と同じように(詳しくは、第3回をご参照ください)、しつこく訴えかけました。

 社長に就任してすぐ、ISOなどの国際規格取得に取り組んだ私の経営の基本は、PDCAサイクルです。会社が1年間の方針を出すと、それに基づいて、社員が計画(Plan)を立てる。さらに実行(Do)に移して、その成果を評価(Check)した後、改善(Action)を加えます。
 その一連の流れを紙に書いて提出し、私が赤ペン先生のように添削します。
 いわば、社長と社員の交換日記です。

「赤ペン指導」で、社員の意識を変える

 

 このような交換日記のファイルが、社内に約30冊あり、それらの添削を、私は十数年間、今に至るまで続けています。最初はISOのいわゆる「管理責任者」を社長自らやっていました。代表権を得た3年前、ようやくその肩書を専務に譲りましたが、赤ペン指導は、私が今も続けています。
 私は、この赤ペン指導を活用して、社員の数字に対する意識づけを図りました。

現場の状況を記録した社員の報告書に毎日、赤ペンでコメントを書きこむ( 写真:的野弘路)

 彼らが書いたノートをチェックすると、「量」は、最初からきちんと意識していることが読み取れました。「搬入された廃棄物は合計××立米(立方メートル)でした」といった具合です。
 一方で、「売り上げ」への言及はほとんどありませんでした。
 しかし、搬入された廃棄物の「量」を把握するだけでは、「売り上げ」は分かりません。
 なぜなら、廃棄物の「質」によって、単価は変わります。

 どの等級の廃棄物の搬入量が増減し、それが売り上げにどう影響したか。そこに意識を向けてほしい――。そんなことを、私は赤ペンで書き続けました。朝礼などでも、ことあるごとに話しました。
 特効薬など見つかりません。地道に続けるしかありませんでした。

 時間はかかりましたが、効果はありました。

 「同じ搬入量でも、売り上げが高い月と低い月がある」

 つい数年前まで、この事実に社員は気づけませんでした。しかし、今は違います。
 「今月の売り上げが高かったのは、単価の高いE級の廃棄物の搬入が多かったからだ」
 ここに、気づけるようになりました。大きな進歩です。

 しかも、社員の進化は、これにとどまりませんでした。