長年ものづくりの世界で「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われてきた日本は、バブル崩壊とともに、失われた20年、30年へと突入しました。ただし、ここにきて、また「ジャパン・アズ・ナンバーワン」となる分野が出現します。それが「高齢化社会」への対応です

シルバーマーケットに商機あり

 高齢先進国の日本は、世界中の国から「高齢者向けの商品やサービスの実験の場」として注目を集めることになります。高齢化社会というと、社会保障や認知症の問題などもあり、ネガティブな問題に捉えられがちですが、ビジネスの分野では、これはチャンスと捉えるべきです。

 例えばベビーブームの時は赤ちゃん用の紙おむつの市場は、高齢者向けの紙おむつよりも大きなものでした。しかし今はその市場規模が逆転しています。このように、小売りでもエンタテインメントでも、今後あらゆる産業において、顧客の対象は高齢化していきます。こうして市場が高齢者にシフトしていくことを「シルバーマーケット現象」といいます。この現象をうまく利用すれば、介護用ロボットなど、新たな分野で日本が世界をリードしていけるでしょう。

 もう1つ、経営者が取り組むべき課題は、生産性の向上です。世界的な経済のイノベーション度のランキングでは、日本は世界で第7位でした。この数字はポジティブに捉えればよいと思うものの、イノベーションを生み出すための妨げとなっている項目は、生産性でした。人手不足が進む中で、生産性を上げることができれば、もっとランキングは上がるはずです。AIなど最新技術を取り入れながら生産性向上を目指してほしいと思います。

 さらに、「ソーシャルイノベーション」もこれからどんどん必要になっていきます。企業は少子高齢化や環境問題など、さまざまな社会的な課題を考えて解決策を見出すことが求められるようになるでしょう。企業に対して非営利組織になれと言っているわけではありません。社会のために何ができるのか、社会の大きな問題を考えて解決できるなら、それは利益に結び付くはずです。もちろん1社だけではできないため、他の企業や組織と連携しながら進めていく必要があります。

 「自分たちは小さな会社だから何もできない」などという考え方では、何も始まりません。自信を持って、目標の設定をさらにレベルアップさせていってほしいと思います。従来の慣習に捕らわれず、徹底的に視野を広げ、オープンな考え方を意識すれば、いろいろな面白いことが生まれてくるのではないかと感じています。

 これからの日本のキーワードを「量より質」だと考えています。例えば「ダイバーシティー(多様性)」も、ただ女性管理職の数を増やせばよいというものではありません。日本では今、60%もの女性が社会参画しており、これは世界的に見ても高い数字です。ただ、給与面や待遇面、あるいはきちんと責任ある仕事を任せているかという面で見ると、まだまだ実態は遅れています。