全8003文字

太陽の家は、そういうソフトの積み重ね、経験の積み重ねで先んじている存在だと思います。企業において障がい者の就労が継続せず、定着率が上がらない理由はやはりソフトの部分。周囲の社員がどうしても遠巻きに見てしまったり、遠慮がちに接してしまったり……。そうするとなんだか“お客さん”で来ているようになって「何か仕事ありますか」という感じになってしまう。この状態はお互いに良くないですね。

山下:そうなんですよ。ただ法定雇用率のために採用するという気持ちではうまくいきません。本当にその人に社員としてプロになってもらいたい、定年まで働いてもらいたいという気持ちがないと無理ですよ。そういう意味では、障がいがある方々も、「プロになる」という気持ちを持つことが必要ですね。“やらされ感”を持ってはダメ。自分でどんどん提案したり発信したりしていかないと。

スポーツでも楽しさを発信すべき

スポーツの分野でもそうですよね。

山下:発信すべきは楽しさ、面白さですよ。だって実際、見ていて面白いですから。そういう点では、パラスポーツの面白さを知ることも大事ですね。「知る」から始まって、「楽しい」「面白い」と変わっていくといいなと思います。

2012年にロンドンでオリンピック・パラリンピックが開かれた時、ロンドンの市民は意外とパラリンピックを見に行っていたんです。「パラリンピックは面白いから」って。

山下:ああ、なるほど。パラリンピックをライブでテレビ放送し始めたのは前回のリオからですが、そういう意味でも変わってきているということなんでしょうね。

ロンドンでは「オリンピックはチケットが高いし取りにくい。こっちの方がお勧めだよ」と言われていました。ごく普通にデートで競技を見に行ったりしたそうで、その辺りが洗練されていると感じました。2020年の東京パラリンピックも、そんな風に、肩肘はらず、楽しむためにみんなで見に行くという流れができるといいですね。

山下:本当にそう思います。福祉にかかわりのない方たちが障がい者とも接点を持つようになり、結局は福祉にかかわっていくようになる。これからはそういう時代になっていってほしいと思いますね。

最初に理事長は「障がい者の就労はバブルの状態にある」と指摘されていましたが、これがバブルで終わってしまうのか、さらに発展して続いていくのか、2020年が1つの岐路となりますね。

山下:そうですね。いずれは法定雇用率がなくてもごく普通に障がい者を採用し雇用できる社会になってほしいと思います。

(構成:小林佳代、編集:日経BP総研 中堅・中小企業ラボ

陸前高田市と日経BP社 日経BP総研が包括的連携協定を締結

 このほど岩手県陸前高田市と日経BP社日経BP総研は、同市が掲げる「ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり」の推進に向けて包括連携協定を結びました。同市では、障がい者、高齢者などが、一般の方々と同じように生活を楽しみ、働くことができる新しいまちづくりを目指しています。さらに、パラスポーツなどの団体の練習、競技会なども誘致し、トップ選手の育成なども応援していく考えです。日経BP総研では、これまでに培ったネットワークや知見を基に、同市の動きを支援していきます。

包括連携協定を締結した戸羽太・陸前高田市長(左)と酒井綱一郎・日経BP社副社長