カープは先進的な取り組みをしてきているのですね。コストダウンも徹底しているように見えます。
松田:僕は死に金は嫌いじゃけぇ。それは一銭でも使いたくない。
マツダ(当時の東洋工業)が苦しいときに、僕はそこで働いていた。6年間いたけど、1年目が経理の原価計算課で、その後、輸出部品部門に行かされて、最後、米州課で生産手配。全部、すごく細かい部署。そういう意味じゃ、わしをすごく細かい人間にしたのは、マツダかもしれん。あそこで教育してもらってなかったら、わし、こんなことできんかったと思う。絶対そうだ。あの6年間で、自分の中にすごく大きいものが入った。
製造業らしい球団にしたい
だからこの会社は、製造業のにおいをたくさん持った会社だと認識している。大株主が製造業のマツダ、自分らもそういう製造業出身の人間。製造業らしい球団を構築したい。
自動車会社は、新車を出すために何年か後の市場を考えるでしょう。選手を入れるときも、新車をデビューさせるのと同じように、何年か先のことを考える。何年か先のチームに向かってどう集約をしていくかを考えながら採っていかなくちゃいけない。短期で片が付くような問題じゃないわけ。
何にでも、研究とか開発とか、それから市場調査がある。最初(前編)に5年という話をしたのは、そういうものが自分の頭の中になんとなしにあるからじゃない?
死に金と生き金はどこで区別していますか。
松田:分からん。感覚だろうね。死に金の臭いがすると、絶対出さない。あまり言いたくないけど、人かもしれん。企画を持ってくる人間に、自信とか、やってみたいというものが出ているかどうかで見ているかもしれんけどね。
逆に言えば、この子には金を使わしたい、使うことを覚えやというような子はいるわけで。1000万円なら1000万円投資になってもいい、金は別にええけぇ、ここをやってみいやと。その1000万円は死に金になるかもしれないけど、その子が成長してくれれば、生き金になると思ったりする。

それもどこを見ているのかは、分からん。何となし。でも、何らかのかたちで「この子にはそろそろこういうことをさせないとあかんね」ということを思いながら、やらさせよるね。
ここで伸ばさないといけないじゃろうという子がいるじゃない、何年目だから、そろそろ工夫して自分でやってみいやと。
たとえば、意図的に(球場などの)改装とかそういう課題を与えたり。本当は自分がやった方が早いし、もっといいものをつくるわいやと思うわ。でも(できあがったものがどうであれ)そこは我慢する。ここは(任せた)わしが悪いんじゃもん。そこはしょうがない。一応は我慢するんじゃ。
任された子は、おびえながらある程度の規模の金を使う。それをおびえさせないように、金はなんぼ使ってもいいんじゃという感覚にある程度はさせないといけんわけ。でないと、金の使い方は分からん。
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