外食産業は人材の確保が課題とされていますが、どういった工夫をされていますか。

大林:人材確保が難しくなることは、十数年前から分かっていました。ですからその当時から高校生、そして主婦の採用に力を入れてきました。

 1990年代後半から2000年代初頭にかけて、日本経済が停滞し、高校生が就職難に陥りました。そのとき私は、東北を中心に高校を回っていました。それから徐々に、高校生を採用できるようになりました。

 うちがブラック企業なら次が続かないけれど、就職担当の先生が次々と紹介してくれるんですよ。最初は30人ほどだった高卒採用が、今では140~150人ほどになっています。東北だけでなく、全国に広がっています。

大林豁史(おおばやし・ひろふみ)氏: 1944年東京都生まれ。69年東京大学経済学部卒業後、日興証券を経て、73年ショウサンレストラン企画を設立(78年に日本レストランシステムに社名変更)、79年に社長、2005年会長。07年にドトールコーヒーと経営統合し、ドトール・日レスホールディングス会長に就任、現在は、ドトール・日レスホールディングス会長、子会社の日本レストランシステム会長兼社長。(写真・菊池一郎、以下同じ)

現場とは適度な距離を保つ

 高校を卒業し、地方から出てきて働くとなると親御さんも先生も、どこに住むかをとても心配します。寮があるのは大きなことなんです。今も寮は10棟くらいあり、200人ほどが暮らしています。そうやって学校や親御さんとの信頼関係をつくり、守っていることが大きいです。ただ、それは一朝一夕でできるものではありません。

主婦に関してはいかがですか。

大林:若いアルバイトよりも主婦の方がずっと戦力になってくれるので、今、パート・アルバイトの30%は主婦です。それは以前からの伝統です。大学生は4年経つと辞めていきますが、主婦は長く働いてくれます。

 主婦のパートには、ボーナスというほどしっかりしたものではありませんが、お手当を出しています。それから、準社員のように、時間をやりくりしながら働ける制度も設けています。そういった方の中から、店長も出ています。

店を回るときに、パート・アルバイトの方と積極的にコミュニケーションを取りますか。

大林:何かあったときには、パート・アルバイトの上の人間に言います。直接何か言うことはほとんどありません。激励のための握手などもしません。なぜと言われると困りますが、私はそういうことはしないのです。

 たまに「僕のこと知っている?」と聞くことはあって、そのときは「ああ、知っていますよ」と言われますが、行っても気付かない方が多いです。そのくらいの関係の方がいいと思います。