外食産業は人材の確保が課題とされていますが、どういった工夫をされていますか。
大林:人材確保が難しくなることは、十数年前から分かっていました。ですからその当時から高校生、そして主婦の採用に力を入れてきました。
1990年代後半から2000年代初頭にかけて、日本経済が停滞し、高校生が就職難に陥りました。そのとき私は、東北を中心に高校を回っていました。それから徐々に、高校生を採用できるようになりました。
うちがブラック企業なら次が続かないけれど、就職担当の先生が次々と紹介してくれるんですよ。最初は30人ほどだった高卒採用が、今では140~150人ほどになっています。東北だけでなく、全国に広がっています。

現場とは適度な距離を保つ
高校を卒業し、地方から出てきて働くとなると親御さんも先生も、どこに住むかをとても心配します。寮があるのは大きなことなんです。今も寮は10棟くらいあり、200人ほどが暮らしています。そうやって学校や親御さんとの信頼関係をつくり、守っていることが大きいです。ただ、それは一朝一夕でできるものではありません。
主婦に関してはいかがですか。
大林:若いアルバイトよりも主婦の方がずっと戦力になってくれるので、今、パート・アルバイトの30%は主婦です。それは以前からの伝統です。大学生は4年経つと辞めていきますが、主婦は長く働いてくれます。
主婦のパートには、ボーナスというほどしっかりしたものではありませんが、お手当を出しています。それから、準社員のように、時間をやりくりしながら働ける制度も設けています。そういった方の中から、店長も出ています。
店を回るときに、パート・アルバイトの方と積極的にコミュニケーションを取りますか。
大林:何かあったときには、パート・アルバイトの上の人間に言います。直接何か言うことはほとんどありません。激励のための握手などもしません。なぜと言われると困りますが、私はそういうことはしないのです。
たまに「僕のこと知っている?」と聞くことはあって、そのときは「ああ、知っていますよ」と言われますが、行っても気付かない方が多いです。そのくらいの関係の方がいいと思います。
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