「洋麺屋五右衛門」や「星乃珈琲店」を手がける日本レストランシステムの大林豁史会長は、これまで逆張りの経営を貫いてきた。ただし、それは意図したものではなく、正しいと思ってやってきたことが結果として逆張りになっていたという。

大林会長は、店舗がオープンするたびに、必ず現地へ足を運んでいるそうですね。

大林:外食産業は立地産業です。ですから、とてもいい立地なら担当者も安心できるでしょうが、そうでない限り、心配なわけです。でも、なかなかやめましょうとは言えません。ですから、出店と退店はトップが判断すべきだという信念を持っています。

 店へ行ってみるのは、出店するという私の判断が正しかったかどうかの検証でもあります。お客さんの入りなど、空気を見れば、「正しかったな」とか「ちょっと間違えたかな」というのが分かります。そうやって自分の物差しを変えていくことで、100%になることはあり得ませんが、70~80%はうまくやりたいと思っているのです。

大林豁史(おおばやし・ひろふみ)氏: 1944年東京都生まれ。69年東京大学経済学部卒業後、日興証券を経て、73年ショウサンレストラン企画を設立(78年に日本レストランシステムに社名変更)、79年に社長、2005年会長。07年にドトールコーヒーと経営統合し、ドトール・日レスホールディングス会長に就任、現在は、ドトール・日レスホールディングス会長、子会社の日本レストランシステム会長兼社長。(写真・菊池一郎、以下同)

内製化を進めているのも特徴です。

大林:社員同士ですと、持ち場は違っても会社の方針が一本、通っているので共通項があります。するとやりやすいですね。それから、うちの工場からうちの配送でうちの店舗まで食材を届けた場合、きちんと冷蔵庫に入れるといった細かいところが徹底できます。

 コスト管理も厳格化できます。例えば野菜の価格は毎年変動しますが、うちが持っている青果店から仕入れる価格は一定にしています。価格変動は青果店側が吸収しているのです。すると店舗側では「今月はちょっと原材料費が高いので」という言い訳が出てこなくなります。仕入れ値を一定にすると、利益が変動したときの原因探索もしやすくなります。

常に変えていく。変わらないと飽きがくる

星乃珈琲店は、もともとはコーヒーチェーンでしたが、試行錯誤を経てレストランのような現在の形になっていますね。メニューを見ると、いかにもお客さんが求めていそうなものと、日レスのリソースをうまく活用しているものとがあります。

大林:私は常に変えていく主義なんです。うちのリソースを使ってお客さんに喜んでもらえるようにと考えています。

 例えば、洋麺屋五右衛門はもう40年もやっていますが、11月1日にメニューをがらりと変えました。今、約200店舗ありますので、そのうちの20店舗ほどで新メニューの試験営業を行っているところですが、変わらないままでは必ず飽きが来ます。

 ですから、1ブランドで成長しようとすると、そこにリスクがあると思います。また、うちのように喫茶から少し値の張る鰻屋までやっていると、全体でどんな現象が起きているのかが、意外と見えるのです。

 もしもハンバーガーショップだけ、牛丼店だけをやっていたら、そのジャンルのことは分かっても、外食全体のトレンドは分からないでしょう。