スキー場ごとにゲレンデの起伏などが変わりますからね。

一ノ本:そうした楽しみを広げるため、2013年に「マックアース30」というリフト券販売の仕組みをつくりました。

 これは“超早割”価格として税込み5万5555円で販売するシーズン券で、当社が管理、あるいは提携しているスキー場で、この券を提示すれば、どのリフトにも乗ることができます。

 このシーズン券の購入者は大抵、ウインタースポーツに高い関心を持っているインフルエンサーです。自分がスキー場に足を運ぶだけでなく、周囲の人たちも引き込んでくれる貴重な存在なのです。

 このほかにも、特定の地域でシーズンを通して使えるエリアチケットなども販売しています。このようなシーズン券を年に1万8000枚販売していますが、実はこれだけで当社が運営するスキー場の年間来場者のうち、3割から4割を確保しています。

 例えば、マックアース30は年間4000枚販売します。このチケットを購入してくれるお客様はシーズン中に平均20回もスキー場に来てくれますので、それだけで延べ8万人になるのです。このインフルエンサーが毎回2人の友人を連れてきてくれれば、それだけで24万人ですから、このマックアース30だけでも年間集客246万人の約1割が集まる計算です。

「山奥に何万人も人を呼べるってすごい」

来場者が少なくなったスキー場に人を呼び戻す再生事業をスタートさせたのは2008年、リーマンショックの年です。なぜこの事業をビジネスにしようと考えたのですか。

一ノ本:山奥に、何万人も人を呼べるってすごいことだな、と思ったのです。

 私の家は大変な山奥にあります。代々標高870mの場所に住み、水田は棚田だけです。平地に住んでいる人に比べると、生産性がかなり劣ります。ですから地域の人口は減っていく一方でした。ところが、1960年代にスキー場ができて、過疎を食い止めることができたのです。

 スキー場があるから、自分も生活できたし大学まで行かせてもらえました。スキー場様々です。自分がスキー場を経営するようになって、そのことをもっと痛感しています。

 今、26カ所のスキー場を運営していますが、全国展開のきっかけは、長野県の黒姫高原でスキー場とホテルを経営している方々が視察に来られたことです。その後、見学に来た社長から、当社にスキー場を運営してもらえないだろうか、と声を掛けられたのです。

 黒姫高原のプロジェクトに関わるようになった当初は、関係者の中に「兵庫の人にスキー場のことが分かるのか」という雰囲気がありました。相手は長野ですからね。

 そこで、黒姫高原では閑散期対策にも取り組んで信頼を得ました。プロジェクトに参加して間もない頃、9月に5連休があり、イベントや宣伝を集中させ、全力で取り組みました。すると、この5連休だけで3万人の集客があったのです。

 夏季に運営しているコスモス園は、新聞で“日本一のコスモス園”と紹介していただいたこともあって、たくさんのお客様に来ていただいています。そうやって結果が出たことで、長野の人たちの間にも一緒に仕事をしようという空気ができてきました。

マックアースのスキー場では東日本の第1弾となる長野県の「黒姫高原スノーパーク」。夏はコスモス園「旬花咲く黒姫高原」を運営(写真)。今ではコスモスの名所として有名になった