種という「生き物」を扱って約1世紀の、サカタのタネ。三代目社長の坂田宏氏は研究開発とともに「人材」の重要性を指摘する。その見分けるポイントも種苗会社らしいユニークなものだ。
社員数は今、どれくらいですか。
坂田:国内が600人強で、海外も入れた世界全体で2100人を超えています。その約2割が研究開発の人材になります。研究開発ができる人材の採用・育成は大きな根幹の1つではありますね。

どんなところを見て、採用されるんですか。
坂田:研究開発に関しては人となり。それと、植物等に対しての情熱というのも重視しますね。管理系でも、やはり仕事に対する情熱のところはよく見ます。なかなか15分の面接では分からないことも多いですけれど。
ですから、できるだけいろいろな社員、レベルの人間の目で見るということはやっています。採用面接は最低3回はしますから、多い方じゃないでしょうか。
最初は人事が面接し、最終面接には我々、役員クラスが入ります。それと、研究開発の場合は事前に農場での研修というものをやっています。それで、かなり人物は見えますね。
農場で研修したら、人となりがすぐに分かるでしょうね。
坂田:分かります。
ちゃんと整理整頓できるかとか、人と一緒に仕事ができるかとか。
坂田:それと、どんなことを質問してくるか。どんなふうに作業をやっているかを見ても、分かります。
生き物を扱っていることが大前提
なるほど、サカタのタネらしいですね。
坂田:採用も事業もそうですが、我々が扱うのは生き物だということが大前提としてあります。新しい品種を開発するのには10年単位の時間がかかりますから、先見性は非常に重要です。ニーズを先取りして研究開発に生かしていくということと、先読みしたニーズが時代とマッチしているか。それと、私も口を酸っぱくして言っていますけれども、オリジナリティーですね。新しいもの、ほかにないものを作るという、この精神。これを、情熱を持っていかにやれるか。
「プリンスメロン」を開発したときも、何回もやめようかと思ったことがあったそうです。担当者が「もう嫌だ」「もういい」と何回も言ったそうですけれど、創業者が「もうちょっと頑張れ」と励ましながら開発した。あれも情熱の賜物です。
これは創業者がよく言っていたことですが、研究開発のポイントは「捨てる」ことだそうです。捨てるということは、取捨選択するということですね。いいものだけを残して、あとは全部捨てる。捨てる勇気を持つのは、なかなか難しい。
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