売り上げ目標は達成できるが、利益が目標に達しない──。そんな悩みを抱えている経営者も多いでしょう。理由はおそらく、商品別販売計画を立てていないからです。
商品別販売計画とは、どの商品をどれくらい売るかをまとめたものです。それぞれの商品について原価を計算して、粗利益率も記入します。
細かな販売計画がなければ、営業社員は売りやすい商品を売ろうとします。売りやすい商品とは利幅が薄く、逆にお客にとっては値頃感が高い商品です。お客が喜ぶからとそんな商品ばかりを売ると、当然利益が伸び悩みます。
粗利益率が高いものは大体、新商品です。お客にメリットはあるが、説明を尽くさないと売れない商品です。こうした商品をしっかり売るためには、トップが販売計画を立てなければならない。それに沿って社員が動くから、目標利益が達成できるのです。
経営計画書を作れば、社員がワクワク、元気になる
得意先別の販売計画を作る経営者は多いのですが、それは取引動向を把握するためのもので、商品別販売計画とは全く別物です。個々に原価計算をするのが面倒という人は、最初は勘でもいいから粗利益率を記入しましょう。
経営者なら「この商品の粗利益率はこれくらいだろう」というイメージがあるはずです。ざっくりとした数字でいいので、それを商品ごとに書いて販売計画を作る。「A商品は250個売ろう」などと目標の数字が示されると、社員の動き方は変わります。

商品別販売計画を活用すれば、販売戦略も明快になります。
計画より実績が上回ったら、その商品を市場は強く求めているのだから、さらに営業に注力する。実績が計画を下回ったら、まず経営者の指示通りに社員が動いたかどうかをチェックする。指示通りに社員が行動したのに計画を下回っていたら、商品の仕様や販売手法をテコ入れする。
この戦略については、経営コンサルタントの故・一倉定先生がよく話していました。私はそれに加え、前年実績とも比べています。前年実績より上回ったが、計画より下回っている商品は重点商品として販促を強化します。
前年実績より下回っている場合は、市場ニーズとずれてきた可能性があるので、重点商品から外すことを検討します。商品別販売計画を立てると販売戦略の道筋がくっきりと見えるのです。
このように経営計画書を活用すれば、高収益体質の会社をつくることができます。また、目標がはっきりし、やりがいも大きく、報酬も増えますから社員が元気になります。ぜひ、皆さんも経営計画書を作ってみてくださいね。
(この記事は「日経トップリーダー」2016年6~8月号の記事を再編集しました)
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