そうして定義した利益を月々、経営計画書に基づいて管理していくわけですが、ここでよくある間違いは、計画と実績の差を金額ではなく、達成率で書いてしまうパターンです。

 例えば年間目標利益が3億円で、現時点で2億7000万円の利益が出ているとします。計画書の月次実績に2億7000万円と書くのはいいのですが、90%と達成率を記すのは駄目。正しくは率でなく、金額でマイナス3000万円と書くのです。

「本気のじゃんけん」などで元気いっぱいの朝礼は、古田土会計の名物。こうした風土づくりも、経営計画の達成を下支えする
「本気のじゃんけん」などで元気いっぱいの朝礼は、古田土会計の名物。こうした風土づくりも、経営計画の達成を下支えする

 率で書くと、どうなるか。

 不思議なもので、人は「90%も達成している」と満足するのです。学生時代のテストのイメージが残っていて「90点は大したものだ」という感覚があるからでしょうか。

 一方、金額で書くと「3億円の目標額に3000万円足りない」と焦ります。そして請求書を出せそうな取引先はないか、経費を削減できないかと動き回り、最終的に目標を達成できることが多い。

目標と実績の差は、パーセントで書いてはいけない

 「額でも率でも、どっちでもいいじゃないか」と考えてはいけません。利益、特に経常利益は内部蓄積に直結します。数字に執着するには、率でなく、額で捉えることが絶対条件。高収益体質はこうした細部の姿勢から身についていくのです。

 差額と達成率の両方を表記する会社もありますが、達成率のほうに目を奪われかねません。だから古田土会計の経営計画書では、達成率を書く欄は設けていません。差額のみを手書きで、計画書に記入しています。

 社員のモチベーションを高める上でも、利益を額で捉えることは有効です。中小企業の30%程度は、定期賞与を出せていません。しかし定期賞与が出せなくても、経常利益が目標額を超えたら、決算賞与を支給するといい。

 例えば1000万円の利益計画に対し、1300万円の経常利益が出たら、超過分300万円の3分の1に当たる100万円を決算賞与で社員に分配するのです。3分の1とは、利益を決算賞与、内部蓄積、税金に3等分するという発想です。

 社員10人の会社なら、1人当たり10万円を支給できます。こうすれば、社員全員で経営計画を立て、その達成に向かう大きな動機付けになります。このときも、目標利益をどれくらい上回っているかをリアルに把握するには、やはり額のほうがいいのです。

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