私たちは毎月、全社員が諸表編を携えて集まり、計画の達成度を全員で確認しています。パート社員も含めてです。方針編についても日々、そこに記された内容を実践し、「もっとこうしたほうがいいな」と思い当たれば、みんなで計画書に書き足しています。
例えば、利益は何のために存在するのか。古田土会計の方針編には、「会社の利益は社員とその家族を守るためにある」と記しています。社長がお金持ちになるためではなく、あくまで社員のため、社員の家族のために、利益を出すのだと明記し、それを繰り返し、社員の前で話しています。
中小企業には様々なリスクがあり、内部蓄積がない会社は一度事故が起きるとひとたまりもありません。当社も、仮に1年間業務停止になるような事態に直面したら、その間180人の社員に給料を払うために、何億円というお金が必要になります。そのために、利益を上げ、自己資本比率90%の水準を維持しているのです。

口で言うだけではなく、社員の休憩室には総勘定元帳を置いています。私の給料も、P/L(損益計算書)もB/S(貸借対照表)も全部オープンにしています。そうすると社員は納得ずくで利益を上げようとし、社長である私自身、間違っても公私混同をしなくなる。
2種類の経営計画書を作り、それを日々、組織の中で躍動させることで、強じんな高収益体質を手に入れることができるのです。
会計事務所を開業した当初は、悩んでばかりだった
私も昔は苦労しました。
大学卒業後、すぐに公認会計士の資格を取得し、監査法人で働き30歳で独立しました。でも、なかなか社員が定着してくれませんでした。雇っては辞め、また次の人を雇っては辞め、というつらい状況がしばらく続きました。
悶々と苦しむ中で、心の経営を説くイエローハット創業者の鍵山秀三郎さんや、一倉さんの本に出合い、少しずつ経営の仕方を改めていったのです。東に、素晴らしい会社をつくった人がいれば行って学び、西に、名経営者がいると聞けば飛んでいった。
人に学び、経営のあり方を考え抜いた先に、経営計画書を軸にした今のかたちに行き着いたのです。会計士として中小企業に指導するからには、企業の模範となりたいとの思いもあり、社員が明るく挨拶し合い、いきいきと働ける企業、そしてどこよりも高収益体質の企業をつくってきたつもりです。
(この記事は「日経トップリーダー」2016年5月号の記事を再編集しました)
日経トップリーダーでは、古田土満氏のセミナーを2種類開催します。「高収益を生み出す『経営計画書』の作り方」の〈体験編〉と〈実践編〉です。〈体験編〉は1日で古田土式・経営計画書の作り方の概略を知りたいという方にお勧めです。〈実践編〉は2日間にわたり古田土経営の本社ビル1階で開催するもので、同社スタッフのサポートを受けながら、自社に合った経営計画書の作り方を実践的にマスターできます。名物の朝礼も見学いただけます。詳細は以下でご覧ください。
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