そのとき、絶対になくてはならないのが「経営計画書」です。

 経営計画書は、会社の道筋を書き起こしたものです。自社の強みはどこにあり、その強みを生かしてどんな商品・サービスを作っていくのか。それによって、どれくらいの収益を上げていくか。

 そうして計画と実績を毎月見比べることで、商品戦略や経営の仕方を日々調整するのです。

 経営計画書という言葉は新しくありませんし、既に作っている社長もいます。でも、はっきり言って、経営計画書の作り方がおかしい社長があまりに多い。

 例えば数字面の経営計画書では、売り上げの計画から作る社長がいます。売り上げをいくら高めても、経常利益が出せなくては内部に蓄積することができません。売上高でも粗利益でもなく、経常利益から計画書はスタートするのです。

 また、計画と今年度の実績しか書いていない利益計画がありますが、前年度の実績が入っている計画表のほうが、より変化が分かりやすいので、問題に素早く手を打つことができます。

経営計画書は1つでは駄目。2種類必要

 細かすぎる経営計画書も士気を下げます。ある会社では売り上げ計画が15億3456万円などと書いてあった。聞けば、前年比で何パーセント上げようと計算したからだという。

 しかし、そんな細かい数字は誰も覚えられない。15億3000万円という単位で十分です。覚えられない数字は、チャレンジする意欲を失わせてしまいます。

古田土会計が社内で使っている経営計画書。諸表編と方針編の2種類がある
古田土会計が社内で使っている経営計画書。諸表編と方針編の2種類がある

 さらに、経営計画書は2種類必要です。数字面の計画書と、経営方針を記した計画書です。通常、税理士が作るのは数字面の計画書で、コンサルタントが作るのは方針面の計画書です。ただ、どちらか1つだけでは意味がなく、2つを組み合わせてこそ、高収益体質が実現できるのです。

 私たちは、これら2種類の計画書を「諸表編」「方針編」として顧問先の企業に作ってもらいます。すると、どこに手を打てば利益が増えるかが見えてくるので、業績向上につながりやすい。

 諸表編も方針編も、作ればいいというものではありません。諸表編は税理士任せにしている人が多いのではないでしょうか。方針編を作っている社長でも、年初にまとめて、あとは自分の机の中にしまいこんでいるという人が大半ではないでしょうか。

 それではいけません。

次ページ 会計事務所を開業した当初は、悩んでばかりだった