利益率が高く、売り上げの伸びも大きい。誰もが望む、そんな会社はどうすればつくれるのか。33期連続増収、利益率20%超の会計事務所、古田土(こだと)会計(東京・江戸川)は、独自の経営計画書を基に中小企業の体質改善を指南している。お堅いイメージの会計士とは一線を画すエネルギッシュな所長、古田土満代表が経営計画書の重要性を語る。
皆さん、社長の仕事は何だと思いますか。私自身は「高収益型事業構造をつくり、社員とその家族を幸せにすること」と定義しています。高収益事業構造をつくるというのは、もとは経営コンサルタントの第一人者として知られる故・一倉定先生の言葉です。
高収益事業をつくるには、戦略が肝心です。戦略とは、どんな商品・サービスで、どう勝負するかです。最近、「社長の最大の仕事は社員教育」と勘違いしている人がいます。もちろん教育に注力することは大切ですが、教育が直接儲けをもたらすわけではない。

戦略の誤りは、戦術ではカバーできません。商品・サービスを時代の変化に対応させることで利益を得られるのであり、その方向性が間違っていると、社員を頑張って育て、日々の戦術を工夫しても業績は上向かないのです。
戦略づくりは極めて重要な社長の仕事です。特に社員100人以下の中小企業では、社長以外に戦略をつくることができる人は、ほとんどいないのが現実です。
今の経営には、計画性、緻密さが問われる
こう話すと「そんなに簡単に儲かる商品・サービスを作ることができたら苦労はしないよ」と反論する社長が必ずいます。あるいは「私が社長をしていた時代は儲かる商品を作っていたが、息子はどうも駄目だ」と、後継者の愚痴をこぼす社長もいます。
こうした社長は大抵、がむしゃらに頑張れば会社は儲かるという成功体験を持っています。日本が高い成長力を保っていた時代に社長を務め、その感覚が残っているのです。だから儲かる商品・サービスを作る力が十分でなかったり、「後継者は駄目だ」と非難したりするのです。
高度成長期は、極端な話、誰が社長をしてもうまくいった時代です。低成長時代に利益を出すには、昔より格段に社長の力量が問われます。どんな戦略を立て、それを実現するために組織をどう動かしていくか。今の経営には、計画性、緻密さが問われる。がむしゃらだけでは無理です。
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