
1979年長崎県生まれ。東京大学卒業。大手証券会社を経て、2004年、父・高田明氏が経営するジャパネットたかたに入社。コールセンターや物流センターの責任者を務めた。12年7月から副社長。15年1月、社長に就任(写真/鈴木愛子)
また16年9月、福岡市内のショッピングモールに、商品を手に取れる体験型店舗を設置。顧客に商品を触ってもらい、その声を番組制作に生かすことを狙う。店頭で対応するのは、店舗近くにあるコールセンターのスタッフだ。対面で接客することで、日ごろの顧客対応力も高まる。
ジャパネットは、着実に旭人の色に変わりつつある。同社では毎年、年初に目標を掲げているが、今年の目標は「プロフェッショナル」「意志を持つ」の2つだ。
旭人は社長就任以降、「意志を持て」と社員に繰り返し伝えている。以前は明にすべての判断を仰ぎ、指示に従って全力で突っ走ってきた。旭人はそれを改めようとしているのだ。
今までの習い性で「どうしましょうか?」と質問してきた社員には「君はどうしたいの?」と聞き返す。答えの根拠が弱い場合は、そう考えた理由を5回は繰り返し問う。
父が長嶋なら、自分は野村
明は長嶋茂雄タイプ、自分は野村克也タイプだと、旭人自身が語ったことがある。明は天才的なひらめきで一代を築いた。自身はデータに基づく仮説と検証で、成長を目論む。
例えば、自分が部下に指示したことはすべて記録に残し、結果をチェックする。指示自体を忘れてしまったか、報告を怠ったか。あるいは何も言わなくても結果報告をしたかで、メンバーの力量を見極める。
社長に就任して2年半、業績は好調だ。ジャパネットホールディングスの16年12月期の連結売上高は1781億円で過去最高を更新、経常利益は158億円。今期はさらに増収増益を見込む。
新たに旅行業にも参入。通販商品として豪華客船でのクルーズ旅行の取り扱いも開始した。7月14日のテレビ通販番組で初めて紹介したが、予想を大きく上回る反響だった。
「社長の息子だからと、何でも『イエス』と答える人と仕事をしても楽しくない。だから社員に意志を持ってほしいと、いろいろと苦心しているんです。高田明の息子も大変なんですよ」。(文中敬称略)
(この項終わり。この記事は「日経トップリーダー」2017年8月号の特別企画を再編集したものです)
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