人材データを分析して可視化することで、社員の幸福度を高め、組織力を上げる。そんなピープルアナリティクスの時代が到来した。最先端の人材活用の現場とは。
[この記事は「ヒューマンキャピタル2018」の講演をまとめたものです]
ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会副代表理事:加藤茂博氏
日立製作所フェロー:矢野和男氏
アクセンチュア人事部マネジャー:佐藤優介氏
パーソルホールディングスグループ人事本部タレントマネジメント部タレントマネジメント企画室室長:山崎涼子氏
加藤:「一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会」(以下、協会)は、人材データを分析、可視化し、人と経営の未来に活かすピープルアナリティクスと、それを牽引するHRテクノロジーの活用を「産官学」で普及、推進する団体です。現在、35社の法人正会員のための講座やワーキング活動などを実施しています。
協会の事業としては、人事データの活用を推進するために、HRテックを利用、そのためにさまざまな個人情報を扱うことになるので、データの取り扱い整備が必要となり、そのルールの策定、さらに人事・研究員の育成、資格認定制度などを行っています。
私たち協会から皆さんへのメッセージは、人事データが活用されていないということは、人材が十分に活用されていないことと同義であること。それを変えるために活用の仕方を一緒に研究しましょうということです。本日は、人事がいかに経営に貢献できるのか、パネラーの皆さんからお話しいただきます。

行動解析による内定辞退予測モデル
佐藤:アクセンチュア人事部の佐藤です。私は戦略コンサルタントとしてアクセンチュアに入社し、その後、人事に異動、人事戦略と新卒の採用責任者をやっています。10年前に、あるお客様のリスク分析をしたことをきっかけに、人事でもアナリティクスの手法を活用できないかと考えました。
6年前に新卒採用改革が始まり、アクセンチュアに合った人材を見つけ、採用するにはどうしたらいいか検討を始めました。まず、当社で活躍しているトップパフォーマー200人をピックアップし、適性テストを受けてもらいました。そこで共通因子を抽出すると共に、ヒアリングも実施、ピープルアナリティクスの手法で分析しました。その結果を10項目に集約し、未来のアクセンチュアに必要なDNAと位置づけました。
この10個のメッセージに共感する人に応募してもらいたいと、応募のエントリーシートでは必ず一番共感するメッセージを書いてもらい、ミスマッチを防ぐようにしています。

ピープルアナリティクスを活用したもう1つの事例としては、行動解析による内定辞退予測モデルがあります。内定者のどのような行動が辞退につながるのかを分析し、特定行動が8、9割になると、フォローするようにした結果、その翌年から辞退率は改善しました。
アナリティクスは、ビジネスプロセスの解像度を上げるものですが、どのように活用したらいいか分からない人には、森岡毅さんの『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』をお勧めします。この他、『データ・ドリブン・マーケティング』(マーク・ジェフリー)、『リーン・アナリティクス――スタートアップのためのデータ解析と活用法』(アリステア・クロール、ベンジャミン・ヨスコビッツ)も参考になります。
特別に専門のツールを用意しなくても、エクセルで十分できるので、今後、協会を通じて方法をお伝えできればと思います。
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