松田憲幸氏が起業して21年目のソースネクスト。同社はこれまで、製品の価格破壊など何度かパソコンソフトウエア業界にインパクトを与えてきた。その根底には、松田社長の社会貢献というモチベーションがあったという。
ソースネクストはこれまで何度かパソコンソフトウエア業界にインパクトを与えてきましたが、何がそうさせてきたのでしょう。
松田:当社には大きな転換点が3つあったと思っています。そのうちの1つが、1997年に「特打」というタイピングの練習ソフトを開発、販売したことです。96年に米国へ渡ったとき、現地のご高齢の方がものすごいスピードでタイピングをしているのを見ました。日本へ帰ってくると、当社の社員が1本指でキーボードを打っています。
ゲーム感覚でタイピングスキルを楽しく向上させる
松田:私はもともとSE(システムエンジニア)だったのでタッチタイプはできていましたが、普通の人はまだできていなかったのです。当時の日本はファクスなど手書きのコミュニケーションも残っている時代だったので、タイプできないことが致命的なことではありませんでした。ですが、その後にコミュニケーションの方法が電子メールになったりすれば、日本人の仕事のパフォーマンスは、他国のそれに追い付かなくなります。
この状況は変える必要があるのではないかと、日本人のキーボードタイピングのスピードをゲーム感覚で面白く向上させられるソフトを作ることにしました。当時、タイピング練習ソフトは他にもあって1万円以上したのですが、我々は一人でも多くの人に使っていただくため、3000円台で販売しました。

製品は発売したらそれを皆さんに伝えないといけません。そこで「特打、特打」というCMを作りました。そのCMがACC(全日本シーエム放送連盟)の広告賞で銀賞をいただいていたこともあり、600万本を超える大ヒット製品になりました。結果として、日本でキーボードを指1本で打っている人は非常に少なくなり、我々も社会に貢献できたのではないかと思います。
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