収益力が低下する中、カゴメのトップに就いた寺田社長。収益構造改革と働き方改革を推進し、企業体質を大きく変えた。

[この記事は「ヒューマンキャピタル2018」の講演をまとめたものです]

 私が社長に就任した2014年当時は、減益が続いていました。カゴメは今年で創業120年目。長い歴史があるためか、のんびりとした体質であり、業績が悪くても仕事の内容ややり方があまり変わらないという、非常に危機的な状況にあったのです。

カゴメの寺田直行社長(写真/稲垣純也)

 当時はまだ前社長の掲げた中期計画が動いている最中でしたが、私は全部白紙に戻して、新たにスタートを切ることにしました。14年度は危機が顕在化している中で緊急的な対応をする、15年度は実質的な改革に動き出す、16年度は効果が実感され収益にも反映される、という3カ年計画を立てました。

 そして、この3カ年計画と合わせて取り組んだのが、収益構造改革と働き方改革です。

希望地に転勤できる「地域カード」

 まず収益構造改革ですが、利益の出ない仕組みが蔓延していました。赤字商品が多い、不良在庫が多い、長時間残業が多い、長時間の会議が多い、等々。こういった問題を一つひとつ見直していき、最終的な経営KPIは「限界利益率〇〇%以上」「損益分岐点比率〇〇%以下」という2つに絞りこみました。

 働き方改革で真っ先に取り組んだ課題が残業禁止です。以前から残業が非常に多い会社で、深夜に本社の前で個人タクシーが列をなしていたほどです。

 そこで私は、夜8時になったら音楽を流し照明を落として退社を余儀なくさせ、仕事の区切りを明確にするようにしたのです。あれから3年ほどたちましたが、今では「残業するのは仕事のできない人」という見方に変わってきました。

 今年から地域カード制度という制度も始めました。自己申告により、3年間は家族のもとなり、自分の望む地域に住むことができるというもの。キャリアの中で2回、このカードを使うことができます。1回使用すれば「カード使用料」ということで1割もらう、つまり給料が1割減るのですが、手を挙げる社員は結構多くいます。

 会議のやり方も変えました。時間は2時間まで、全部ペーパーレス、質問は事前にやりとりする、などのルールです。