データベースの構築には資金的な体力も必要だったのでは?

吉松:そうですね、初期の頃は大変でした。資金が必要だった部分は大きく2つありまして、1つは「データベースを作るためのコスト」、もう1つは「データベースを維持・管理していくためのコスト」です。

 前者のコストに関して言いますと、僕らはデータの登録そのものをユーザーに開放する方法を取りました。当時としては画期的だったと思いますが、このことによって、データ作成のために必要なコストは劇的に安く抑えられた。一方で、苦しかったのは後者の方。当時はまだネットワーク・インフラのコストが高すぎて、アクセス数が増えるほどサーバーの維持・管理コストも増えていった。結果、なかなか収益化できない時期があって、その辺りの資金繰りには非常に苦労しました。

最大手を口説き落とすまでじっと我慢した

データの登録をユーザーに開放するという判断は弱みを強みに変える「逆転の発想」だったと思うのですが、それは簡単に出てきたのでしょうか。

吉松:そこは自然に。データを入力するほど面倒なことはありませんから、その部分はユーザーにお願いすべきだという考えは比較的シンプルに出てきました。大変だったのはむしろ、写真などの商品データを揃えることの方だったかもしれません。

 我々が目指すのは口コミデータの一元化ですから、メーカーをまんべんなく巻き込まないといけない。最初はもちろん、そんな訳の分からないサイトに自社の商品データを提供できるか、という反応ばかりでした。どうせサイトには悪口を書き込まれるんだろう、と。

 今ならば「食べログ」の化粧品版ですよとか、「Amazon」の化粧品版ですという説明ができるんですけれども、当時はインターネットのユーザーそのものが限られている上、ビジネス誌に「Amazonは黒字化するのか?」という見出しが躍るような時代でしたから。多くの人は口コミサイトが何なのか見たこともないし、「それを通じて獲得できるデータに価値があるんです」と説明しても、なかなか分かってもらえませんでした。

 実は、比較的早いうちから、広告を出したいというメーカーもありました。しかし、僕らはあえて業界最大手を口説けるまではすべてお断りしていました。最初に小さいメーカーの広告を載せてしまうと、大手がそれと同列に紹介されるのを嫌がる。そうすると、本来の目的であるデータベースの一元化も難しくなってしまいますから、そこはじっと我慢しました。