社会貢献とは、普通のことを普通にすること

 小平さんが注目されたことで、相澤病院の名前は多くの方に知っていただけるようになりました。「有名になって良かったね」などと言われることも多いのですが、知名度が上がったからといって、患者さんが病院にたくさん来てくれるわけではありません。

 病院が最も優先すべきなのは、医療の質です。質というのは、患者さんが安全に、確実に治療という目的を達成できることです。きちんと治してもらえて、さらに傷があまり目立たなかったり、長く入院せずに治ったり、そのような質を担保するのは非常に難しいことです。しかも、質は常に一定ではありません。医療は日々進歩しており、新しい治療法がどんどん出てきます。それに対応していかなければなりません。医療の質なくして病院経営は成り立たないというのが私の考えです。

 だから小平さんが素晴らしい成績を残して、相澤病院という名前はみんなに知ってもらえたかもしれませんが、それで患者さんが爆発的に増え、業績がアップするというような簡単なものではありません。スタッフみんなで協力しながら、常に医療の質を高める努力をし続けなければならないと思っています。

 CSR(企業の社会的責任)という言葉がありますが、私は奇をてらったような特別なことをする必要はなく、普通のことを普通にすればよいのだと思っています。
 経営学者のドラッカーは、企業は社会のためにあると言っています。自分たちの製品がただ売れて儲かればいいということではなく、その製品によって暮らしている人が便利になったり、これまでより作業時間が短縮されたりする。それが社会貢献になっているのです。
 利益を上げることも社会貢献です。その利益によって、より良い商品やサービスを開発することができるからです。

 私たちは、長野県の朝日村で年に2~3回、森の下草刈りをするボランティアをしています。朝日村の森林組合が、下草の整備ができないために森林が弱っていることを悩んでいたのです。これも別にCSRなどと宣伝することではなく、行きたいという職員がいたので始めただけのことです。
 ただ、面白いのが、そうやってお手伝いをしていると、今度は朝日村の方たちが、「よく来てくれました」と言って、自分たちの畑で作ったものを持ち寄って、私たちにご飯をご馳走してくれたりするのです。

 私たちの下草刈りがどれだけ役に立っているかは分かりませんが、こうした普通のことを普通にすることによって、お互いの波動が合い、エネルギーが集約されて、そこからまた大きな価値やパワーが生まれていくような気がしています。

相澤病院は長野県松本市にある