しかし、Launch Padで勝ち抜くのは簡単ではないですよね。
金谷:何度も言うようですが、このサービスは世の中のニーズに合致していると確信していましたから、私がこれに出れば絶対優勝できる、と思ったんです。早速出場することを決め、プレゼンは300回ほど練習して臨みました。
若い頃にサッカーを長年やっていたこともあって、競ったら勝てる、球際では絶対に負けない、という気持ちもありました。そうしましたら本当に優勝できまして、3億円の資金調達が可能になり、狙い通り社内の見る目も変わって、社名もakippaに変えることにしました。
ドミナント戦略が奏功し利用者が増加
ビジネスとして軌道に乗ってきたと実感したのはいつ頃ですか。
金谷:2015年の秋頃から、まず大阪でドミナント戦略を展開しました。250m四方に1カ所は確保するというイメージです。そうやってある範囲に登録駐車場が増えていくと、駐車料金の平均単価も上がって、売り上げもより上がっていくのです。
駐車場が増えると競合して単価は下がり、1カ所当たりの利用率も下がりそうに思えますが、実際には利用者がどんどん増え、売り上げは膨らんでいきました。
停められる場所が多ければ、皆、日常的に使ってくれるようになるんですね。いけるんじゃないかと感じたのはこの頃です。このやり方を、東京、名古屋、福岡でも展開しました。今、駐車場は月に3000台のペースで増えていて、地図上では次々と新しい駐車場が見つかるようになっています。
料金は一般的なコインパーキングと同じくらいですか。
金谷:もともと使われていなかった場所を使いますので、3割ぐらいは安くしています。ただ、ダイナミックプライシングで、近くでコンサートがあるなどして需要が高いときは少し料金を上げています。

ところで、どのような駐車場が登録されているのでしょうか。
金谷:東京・丸の内の丸ビルの地下駐車場、東京日本橋タワーの駐車場などがあります。そこにはもともと一般向けの時間貸し駐車場があるのですが、停めていいのか分からないという方もいます。
ところがakippaを使えば、「ああ、ここにも停めていいんだ」と分かり、すぐに予約が入れられます。中には、駐車スペースにかなり余裕があったのに、akippaからの予約利用が増え、駐車料金が値上がりした駐車場もあります。
ホテルの駐車場の登録も積極的に増やしています。ホテルは立地のいいところにありますし、訪日観光客の数が増えたことで、クルマで泊まりに来る人が減り、駐車場には空きが増えているのです。
全国の商業施設の駐車場を管理する大和リースとも契約し、商業施設などの駐車場をakippaで使えるようにしました。例えば佐賀に、サガン鳥栖というJリーグクラブがありますが、そのホームスタジアムのすぐ近くに大きな駐車場がある商業施設があります。試合のときには、この駐車場をサポーターが使えます。
以前は、試合があるときに無断でその駐車場を利用している方がいて問題になっていました。買い物客には無料開放されている駐車場ですので、別にakippa用にエリアを確保してもらい、精算機などは設置せず、駐車場の警備員にスマホでakippaの予約済み画面を見せれば、停められるようにしたのです。
(後編に続く。後編の掲載は4月13日の予定です。構成:片瀬京子、編集:日経BP総研 中堅・中小企業ラボ)
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