「ネットを使います」ではなく「お客を連れてきます」

どのような営業をしたのですか。

金谷:来年、空き駐車場の活用サービスを始めるので、駐車場をこのサービスに登録してもらえませんかと、月決め駐車場のオーナーさんにお願いするのです。自転車で街を回り、月決め駐車場があれば、看板に書いてある電話番号に電話をかけ、交渉するというやり方です。

 ただ「インターネットで集客します」と伝えると、オーナーさんの多くは「そういうのはよく分からない」と言います。そこで、「1日1000円で車を停めたいというお客さんを連れてきます」という言い方をしました。すると、もともと空きスペースなので登録くらいはしてもいい、という方が少なくありませんでした。

 ビジネスモデルは、駐車場のオーナーからは空いているスペースを登録してもらい、駐車場を使うお客様にはネット経由で1日単位の利用予約をしてもらって、利用料金を駐車場オーナーへ、我々は手数料を頂くという形です。ちなみに今では、15分単位の予約ができます。

多くの使われない駐車場が存在している。akippaは、空きスペースのある駐車場を見つけては、オーナーと連絡を取り、akippaユーザーが使える駐車場として提供登録をしてもらっている

システムはどうやって構築しましたか。

金谷:私たちはエンジニアのいない会社でした。コワーキングスペースでフリーランスのエンジニアの方々と話しているうちに、このようなサービスをつくるのが得意で、相性もいい人に巡り合いました。そして無事、予定通り始めることができたんです。今でもその方には業務委託をしています。

このサービスで駐車場を利用しようというお客は集まりましたか。

金谷:集まりました。技術系のメディアに取り上げてもらったおかげもあって、2月20日からの事前登録で3000人ぐらいがユーザー登録してくれました。その後、Airbnb(エアビーアンドビー)やUber(ウーバー)が話題になり、世の中のシェアリングエコノミーに対する関心が高まったことも追い風になったと思います。

 ただ、なかなかお金にならないんですね。その理由は、サービススタート時には登録されている駐車場が700カ所しかないうえに場所もバラバラでしたので、ユーザーが本当に便利に使えるという駐車場を見つけられなかったんです。利用数は月に20から30程度でした。

 それでもしばらくすると月に数百万円の売り上げが出るようになりましたし、私はこのビジネスが絶対に成長すると信じていました。ただ、私たちの会社の既存事業では桁が違う売り上げがありましたので、この程度の売り上げでは、駐車場の事業はもうやめた方がいいという声も出てき始めました。

 もっともこの頃には、社員もネットビジネスに興味を持つようになっていました。IT(情報技術)ベンチャーなどの登竜門と呼ばれる「インフィニティー・ベンチャーズ・サミット Launch Pad」というビジネスプレゼンテーション競技の中継を社内でよく見ていたんです。そこで思い付いたんですが、私がこのイベントに出場して優勝すれば、今は疑心暗鬼の皆も、乗ってくるのではないか、と。