出かけた先でクルマを停められる場所が見つからない。目の前の月決め駐車場には空きスペースがあるが、今日だけそこに停めさせてもらえないだろうか――。このような困りごとを、ネット経由のシェアアプリで解消しようというのがakippaだ。2014年にスタートしたばかりだが、既に1万6000カ所の駐車場と、約60万人のユーザーを擁している。社長の金谷元気氏に、どうドライブを掛けて急速に事業を立ち上げたのか、聞いた。
月決めや個人の駐車場をネット経由で時間借りできるアプリ「akippa」を2014年4月にリリースし、順調に利用者数を増やしています。駐車場のシェアリングを思い付いたきっかけは何だったのでしょうか。
金谷:起業して4年間は、主に携帯電話を法人に販売する代理店業務を営んでいました。事業は軌道に乗っていましたし、社員も仲が良く、申し分ありませんでした。

ですがしばらくして、自分たちの仕事は数字を追っているだけではないかと、最初は感じていなかった疑問を抱くようになりました。本当に世の中のためになっているだろうか、私たちが扱っていた商品も、納得して買っていただくというより、説得して買っていただいているのではないか、と思うようになってきたのです。
次に、社員とその家族に、生活の中で困っていることを聞いてみたんです。人々が困っていることを解決できるものをつくることができれば、それは“なくてはならぬ”ものになるからです。困りごとは200件ぐらい集まりました。
そのうちの1つに「クルマで出かけた先で駐車場が満車と知ること」がありました。一方で、月決めや個人の駐車場は、いつもクルマが停まっているわけではありません。そこで、クルマで出掛ける人と、空き駐車場をつなげばいいのではないかと思ったんです。
日本の駐車場事情について調べてみましたら、クルマは7600万台ありますが、コインパーキングは500万台分しかない。ある瞬間の路上駐車の数は、東京と大阪だけで9万台もありました。
一方で月決めや個人の駐車場は1億台分あるんですが、その3割が空いていることも分かりました。さらに調べると、コインパーキング事業を手掛ける企業は、6社が上場していることも分かり、これは儲かる、堅いビジネスなんだと確信し、13年10月から営業を始めたんです。
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