やはりIT業界は変化が激しいですね。

宇佐美:我々だけではなく、どの会社も多かれ少なかれ、そういう運命を背負っていると思います。逆に考えると、これほど面白い業界もない。3、4年でビジネスモデルを変えなくてはならないということは、それだけ次々と新しいことに挑戦できる業界でもあるからです。

 1つのサイクルでうまくいかなかったとしても、3、4年待てば、次のチャンスがやってくる。だとすれば、事業が新陳代謝していくサイクルや文化を組織のDNAに組み込んで、次から次へと事業を起こしていけるような会社にすればいい。個々の事業で見れば波はあっても、会社全体として見たら、継続的に成長している。そういう組織をつくればいいんだ、と発想を転換しました。

経営はシンプルな方がいい

宇佐美:振り返ると、最初の頃はかなり難しいことをやろうとしていたな、という気がします。既存ビジネスの売り上げを落とさずに、新しい事業をアドオンして組織も一緒にしようと、非常に難易度の高いことをやろうとしていた。

 自分の頭の中では何度もシミュレーションしていますから、みんなも理解して、すぐにできるよねと思い込んでいたんですね。でも、現実には一人ひとりがそれぞれの想いを持って事業に取り組んでいますから、経営者の思った通りには、人は動いてくれません。

 既存事業から新規事業へと転換しようとする場合、シンプルに経営するというのは非常に大事だと思いました。両方を生かそうとすると、結局はどちらも中途半端になってしまう。シンプルにすると小回りは利かなくなってしまうのですが、ベクトルは同じ方向を向きやすくなります。コミュニケーションもすごくシンプルになって、目標設定も明確になりますから、組織マネジメントが非常にしやすくなるんです。

 スタートアップの経営者から相談を受けることもありますが、話を聞くと、だいたい複雑なことをやろうとしすぎています。本当に大事なものは何かを軸にして、余分なものをどんどんそぎ落としていくと、経営はしやすくなると思いますね。それと、重要なのは価値観のすり合わせです。

 我々は、「世界を変えるようなスゴイことをやる」という創業時の思いを込め、経営理念として「SOUL(360°スゴイ)」を掲げ、グループ全体が共有すべき価値観として「CREED」と呼ぶ行動規範を掲げています。「挑戦し続ける。」「自ら考え、自ら動く。」「本質を追い求める。」「圧倒的スピード。」「仲間と事を成す。」など具体的には8つの言葉を掲げていますが、これらが言葉だけではなく、実際に組織文化として定着できているかどうか、ということが成長の鍵を握ると思っています。(後編に続く)

(構成:曲沼美恵)

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