稼ぐことだけが目標だと社員は尻込みする

今後は、自社製品の開発と販売をメインにしていくのでしょうか。

梶村:いえ、下請けをやめるつもりはありませんし、減らさないようにしたいと考えています。今でも下請け業務から得ることも多いからです。

 もしも会社の基礎ができていないうちに、自社製品で何か一発ヒットが出ていたら、今頃この会社は存続していなかったかもしれません。下請け仕事に加えて自社製品の扱いを増やし、より収益力を高めたいと考えています。

自社製品例②。高速道路上の作業員を守る警報機。作業エリアを指定した路上のコーンに触れたクルマなどがあると、作業エリア全体に瞬時に大音響の警報を鳴らす装置。NEXCO中日本の困り事を聞いて製品化した
自社製品例②。高速道路上の作業員を守る警報機。作業エリアを指定した路上のコーンに触れたクルマなどがあると、作業エリア全体に瞬時に大音響の警報を鳴らす装置。NEXCO中日本の困り事を聞いて製品化した

ところで、企業理念に「物心両面での幸福創造企業の実現」を掲げていますが、これにはどのような思いを込められているのでしょうか。

梶村:会社は、社員と共に幸せになっていくのが大切ですが、そのためにはお金を稼がなくてはなりません。物心の「物」はお金のことですが、「稼ごう」だけでは皆尻込みしてしまいます。そして、仕事にやりがいを持つ、持たせる=「心」だと、かなり昔から話していました。それを改めて示したのがこの理念です。

 「スモール・ジャイアンツ」というグランドコンセプトも掲げています。“小さくても世界に通用し貢献できる会社にしよう”という「目標」と、“強小企業集団で臨む”という「手段」、“積小為大”小を積みて大と為すという「心構え」を持っておく、という3つの意味が入っています。

2017年に社長を退き、会長に就任されましたが、なぜこのタイミングだったのですか。

梶村:今年で70歳なので一区切りということと、息子、今の社長が「やる」と言ったので切り替えたんです。以前は、2015年までに世代交代をすると対外的に発表もしていたのですが、そのときには新社長もなかなか決心がつきませんでした。リーマンショック後の厳しい時代でしたからね。

 新社長には、当社のこれまでの歴史、伝統、文化を大事にしてほしいと思っています。私は、人もお金も全くない中、ひもじい思いもしましたが、多くの方のご協力を得て起業して取り組んできたということを少しでも理解してもらえればと思うのです。それは親のわがままじゃないかという人もいますけどね。

(この項終わり。構成:片瀬京子、編集:日経BP総研 中小企業経営研究所)

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