特許は中小企業にとって差異化の源泉

梶村:今、当社では約280の特許を出願しています。時間やコスト負担、発明の公開などのデメリットもありますから、特許は取得しないほうがいいと言う人もいますが、中小企業にとっては差異化の源泉、付加価値の1つになると思っています。知的財産を管理するのは中小企業には簡単ではありませんから、大手企業と共同管理できているのもありがたいことです。

食や医療・介護などの分野で、どのような自社製品を開発されたんですか。

梶村:レトルト食品の事業にも取り組んでいて、大河ドラマブームに乗った、薬膳の「直虎カレー」などを開発販売しており、おかげさまで売れています。

 食関連事業は、もともと農業者の困り事を解決していこうという思いで始めたものです。農業者の困り事はいろいろあります。作物の保存が簡単ではない、天候条件で作柄が不安定になる、かと言って植物工場を造るほど投資はできないなどです。

 今進めているレトルト事業では、例えば食の安心に応えられる農業者になってもらうための支援ができないか考えています。進学のために子供が上京したとき、あるいはご主人の単身赴任でもいいです。そのときに、家族はいつもの味を食べさせてあげたいと思うでしょう。あるいは食物アレルギーがある人に配慮している家族、災害のときの備蓄食にもいつもの食事を用意したいという家族のためのレトルト食品を農業者と開発するんです。

自社製品例①。本業では通信機器の設計製造などを手掛けるが、食品製造にも参入した
自社製品例①。本業では通信機器の設計製造などを手掛けるが、食品製造にも参入した

 医療については、例えば適切な時間がたったら自動で緩む駆血帯を考えています。駆血帯の外し忘れに対応する製品です。ぺたんと貼る感覚で体内に薬剤を注入できる平たい注射器の技術も開発しました。これがあると、予防接種など多くの人に次々と注射するときに便利です。病院から、ほんの小さな困りごとを含めて要望を出してもらい、弊社内で考えて特許化しています。

 自社商品開発に関連して今当社に欠けているのは、そうやって作った商品を、開発会議を持たせてもらっている会社やその周辺の会社だけでなく、もっと広く販売していく力です。営業体制については2018年から本格的に整備していきます。

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