整理ができない会社では、ある悪い習慣がはびこっているものです。
 その悪弊とは、「直置き」です。
 床に直接、モノを置くのが当たり前になると、どんなに戸棚や引き出しを減らしても、モノがなかなか減りません。戸棚や引き出しに収納しきれないモノがあっても、床にいくらでも置けるからです。

 そこで私はあるとき、社内に「直置き禁止!」の大号令を発しました。その際、併せて、こんな指示を出しました。

 「どうしても直置きしなければならないモノには、すべてキャスターを取りつけなさい。あるいは、キャスターをつけた台の上に置きなさい」

「直置き禁止!」の大号令に始まり……

 この指示を受けて社員は、多くのモノを捨てました。キャスター付きの台を用意してまで、オフィスに置きたいモノなど、それほどなかった。残ったのは、一部の棚とゴミ箱だけでした。

 だから武蔵野では、ゴミ箱にも棚にもキャスターがついています。

すべての戸棚にキャスターをつける。移動させやすく、引っ越しや掃除に便利(写真:的野弘路)
ゴミ箱もキャスターを付けて置いて(写真右)、「直置き禁止」を徹底。立ち机なので、下に背の高い引き出しが置ける(同左)(写真:的野弘路)

 ラクな選択肢と、面倒な選択肢を提示すれば、誰もがラクなほうを選ぶものです。そんな人間の習性を踏まえて、会社を発展に導くのが、社長の務めです。

 ゴミ箱について、社員はさらにラクな方法を発明しました。

 机の天板の下にフックを取りつけて、ゴミ箱を引っかけ、空中に浮かせた(下写真)。直置きにならないばかりか、キャスターをつける必要もありません。
 ゴミ箱にキャスターを取りつけると、掃除のときに移動させるのがラクですが、これなら、そもそもゴミ箱を移動させる必要すらありません。

 最近では、パソコンの本体も、机の下にラックを手作りして置くのが、主流になっています(下写真)。ゴミ箱の成功例の横展開で、省スペースに貢献しています。

 「直置き禁止」から始まった「キャスター使い」の技は、「空中戦」へと進化しました。
 改善を求める旅に終わりはありません。

立ち机の天板の下にフックでゴミ箱をぶら下げた。省スペースで、清潔を保ちやすい(写真:的野弘路)
デスクトップのパソコンの本体は、机の下にラックをつくって収納。こちらも省スペース(写真:的野弘路)

(編集・構成:日経トップリーダー

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