整理は、モノの要否を判断して、要らないモノを捨てることです。
 整頓は、モノを使いやすいように置くことです。

 社員教育において、どちらが重要かといえば、整理より整頓です。
 なぜならば、整理は整頓よりレベルが高く、難しいからです。

整理は意外に難しい。整頓からやろう

 整頓の教育は、決まった位置に決まった方法で置かせることです。きちんとできているかが、一目で分かります。正しい答えに具体的な形があるからです。
 一方、整理の教育は、モノの要否を正しく判断できるようにすることです。きちんとできているかどうかは、一目では分かりません。正しさの基準が抽象的で、具体的な形がない。
 目に見えて分かる整頓であれば、部下にとって取り組みやすく、上司にとって指導しやすい。一方、整理の教育は、部下にも上司にもハードルが高い。

 いきなり難しいことを生徒に求める教育は、必ず失敗します。だから、整理より前に整頓。整頓ができてから、整理に着手するのが正しい順序です。

 整頓を徹底していれば、整理は後からついてきます。

 きちんと整頓して、モノを決まった位置に、決まった方法で置かないと叱られる。こういう経験を繰り返すと、部下はあるとき、気づきます。モノが少ないほうが、叱られにくい。ペンを5本、向きをそろえて並べるのと。3本を並べるのでは、どちらがラクか。後者です。1本に絞れば、もっとラクです。

 こうして自然に整理して、必要最小限のモノしか持たなくなっていきます。

キャップのクリップ部分の向きまでそろえる。ペンの本数を必要最小限までは減らしているからできる
キャップのクリップ部分の向きまでそろえる。ペンの本数を必要最小限までは減らしているからできる

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