会社を「儲かり体質」にするコツは、余計なモノを持たないこと。
いくら強調しても、強調しすぎることのない真理です。
下の写真は「ダスキン国分寺支店」の給湯室です。戸棚の扉がありません。もう20年以上前に外しました。私が武蔵野の社長になって、数年後のことです。

赤字続きの会社の社長になって、私は最初に大号令をかけました。
「環境整備で、業界一になる!」
そこで自ら現場を回り、整理整頓や掃除がきちんとできているかをチェックすることにしました。
すると社員はどうしたか。私が自分たちの職場に来ると察知するや、モノを隠しました。散らかっているモノを、戸棚のなかに押し込み、私の目に触れないようにしました。「見える化」ならぬ、「隠す化」です。
そこで私は、戸棚の扉を撤去し、捨てさせました。戸棚のなかが丸見えになり、片づいていなければ、すぐ私に叱られます。
すると社員は渋々ながら、棚を片づけ、整頓するようになりました。
私は、社内の扉という扉を、どんどん撤去していきました。個人情報保護法ができるまで、社内にあった扉といえば、トイレの扉くらいでした。

扉を外してからしばらくして、賢い社員が気づきました。棚にモノが多いほど、整頓の手間がかかる。逆に、モノを減らせば、整頓がラクになる。こうして、社内からモノが減っていきました。
扉を減らせば、社員の心が変わる
モノを減らすとは、すなわち整理です。職場にあるモノが要るかどうかを一つひとつ考えて、要らないモノを捨てていく。このような思考と決断を経て、整理を進めていくのは、かなり高度な知的作業です。
扉を減らされ、整理のトレーニングを嫌々ながらも、半ば強制的に積み重ねることで、社員はぐんぐん成長していきました。
賢い社員が、最初にモノを減らしたのは、私に叱られたくない、ラクをしたいという「不純な動機」からでした。しかし、動機は何であれ、社員が整理をしたほうがずっといい。社員が「良い動機」から動くのを待っていたら、いつまでたっても会社は儲かりません。最初は不純な動機でも、実際に体を動かして整理を始めれば、社員もやがて、その意義を理解します。結果、心が変わります。
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