監督に就任した当初は、年齢差もあり、若者の気持ちを掴むのが難しかったのではないですか。
原:青学が陸上競技部の強化に乗り出すということで、36歳のときに「10年で箱根の優勝争いをする」と目標を掲げ、監督になりました。選手たちにとっては、どこの馬の骨とも分からない、指導実績のない監督がいきなり入ってきたわけです。私自身も自分を大きく見せようと虚勢を張っていました。緊張感だけがあって、言葉にも余裕がなかった。当然、選手とは対立してしまいました。
ただ、この時期に厳しく理念や躾を教えたことが今のチームのベースとなっています。やはり最初から理念や哲学なしには組織は成り立たない。監督の指導理念や目的などは畳み掛けて伝えていくことが大切です。立ち位置を把握させる

当時から続けている選手たちの目標管理も非常にユニークです。
原:毎月、半歩先の目標を書いて達成させています。できることに挑戦させるのだから、達成してテンションが高まり、また次に向けて頑張れるのです。こうした目標管理もこれまでの陸上界では行われていませんでした。
ここで最も大切なのは、自分の力を自分で分からせることです。立ち位置が定まらないと、次の目標が描けません。把握しているからこそ、さらに半歩、半歩と歩みを進めて、振り返ってみるといつの間にか成長している、そして各自が喜びを感じられるわけです。
常に自分の力を磨けば、チーム全体の力が伸び、1人のエースに頼るのではなく、全員で戦えるチームになっていきます。
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