依田:宅食サービス「おうちごはん」も始めました。
お年寄りは味わう力が落ちているので、おいしいものをおいしいと感じにくくなっています。でも、温かいものはおいしいと感じます。一般的な配食はセンターで調理して冷凍し、それを運んできて電子レンジで温め直して配るのですが、これではあまりおいしいとは感じてもらえません。
そこで当社では、自社の福祉施設で作った食事を温かい状態でお届けし、お年寄りの自宅の食器に盛り付けるサービスを始めました。10分間滞在するので、盛り付けしている間に話をしたり、ちょっとした洗い物などもします。人がいるところで温かいものを食べられる。これが私たちの宅食の売りです。
近いうちに不動産事業の免許を得たうえで、施設に入居した高齢者の自宅の整理整頓、場合によっては土地や家の買い上げ、転売、シェアハウス化にも取り組みます。葬儀も手掛けます。多様な葬儀のプランを用意し、何かあったときは誰に連絡するといったことまで含め、施設に入居される前に契約するような仕組みを用意します。
少子高齢化社会で重要になるのは幼児教育
将来的な話になりますが、今の介護を支える子供たちを育てる必要もあると考えています。そのために2016年に保育事業も始めました。
少子高齢化社会を支えるには、優秀な人材が必要です。そこで重要になるのが幼児教育なんです。「ヨコミネ式」というカリキュラムで、徹底的に運動などを鍛え上げる方式です。スポーツに堪能なのは脳が発達しているともいえ、鍛えた人材は1人ひとりが輝き、時代を切り開きます。保育の次は学校ということになるので、やはりいずれは教育事業に戻っていくのかな、という気はしています。
ところで今、当社には非常勤を含めて従業員が6500人ぐらいいるのですが、そのうちの8割ほどが女性で、未婚の方も多い。結婚はしたいんですがなかなか出会いの機会がありません。ですので、結婚相談所のような、結婚したい男性とのマッチング事業も具体的に進めています。
依田さんは、2035年には業界でナンバーワンを目指すとビジョンに掲げています。
依田:今はまだ誰がやっても介護事業は伸びます。ただ近畿圏では2030年、中部圏では35年、首都圏では40年に高齢者が減り始めると言われています。どんな業界の企業でも、その企業が本物であるかどうかは、需要が減り始めるときに分かると思っています。ですからそれまでに人を育て、強い組織をつくっていきたい。

[コメント投稿]記事対する自分の意見を書き込もう
記事の内容やRaiseの議論に対して、意見や見解をコメントとして書き込むことができます。記事の下部に表示されるコメント欄に書き込むとすぐに自分のコメントが表示されます。コメントに対して「返信」したり、「いいね」したりすることもできます。 詳細を読む