学習塾の経営状況はいかがでしたか。

依田:生徒がわずか1年間で100人近く入り、その後40カ所まで教室を増やしました。79年でしたから、子供はまだ減り始めていない時期だったのです。この時期には、ほとんどの塾が成功していました。

 ところが90年代後半には塾に通う子供が減り、塾がバタバタと潰れ始めたのです。古い塾ほど潰れていきました。私の塾も毎年12月から生徒の募集を始めるのですが、好調な時期にはチラシを出せば100人単位で生徒が集まりました。ところが、だんだん状況は悪化して、1人を獲得するための労力がかなり必要になってきました。

 生き残った塾は、先生たちがしっかり教育されていて、ブランド力もある塾でした。私が経営する塾もそのようにリニューアルしてもよかったのかもしれませんが、改善改革には4、5年の歳月がかかる。なので、新しいマーケットを掘り起こしていったほうがいいだろうと判断したのです。

介護保険開始に合わせて介護事業へシフト

依田:そこで再び、人のための仕事は何か考えました。塾の経営で、少子高齢化を実感していたこと、また2000年に介護保険がスタートすることもあって、96年に介護福祉士養成の専門学校を、99年に特別養護老人ホームをつくりました。

 99年には、塾の運営会社のうち休眠状態だった1つをケアにじゅういち(現ケア21)と変えて、本格的に株式会社として福祉事業をスタートしました。ベンチャーキャピタルのほか、人脈を頼って電設資材メーカーや葬儀社、理化学用品メーカーからも出資を受けました。

 ケアにじゅういちは、大阪市東淀川区、吹田市、豊中市に訪問介護事業所を出すところからスタートです。すると、どこも1カ月目で黒字になったんです。「えーっ!?」と、自分でも驚きました。初年度内にさらに10カ所をオープンさせました。

 訪問介護の仕事をしていると、お年寄りが本当に望んでいるのは自宅での暮らしだということに気付きましたが、自宅にいたいと望んでも自宅暮らしは難しい人もいます。そこで、介護付き有料老人ホームを開設するといった具合に事業を展開してきました。当社を設立したときから狙ってはいたのですが、3年半で上場することができました。

有料老人ホームやグループホームは「たのしい家」というブランドで展開されていますが、他にはない特徴はありますか。

依田:答えになっているか分かりませんが、「たのしい家」は、地域に開放すると言いますか、イベントを開催するときには、近隣にチケットを配布して来てもらったり、学校や幼稚園からも遊びに来てもらったり、なるべく外とつながろうと考えています。施設が社会から閉ざされると、施設長のやり方が全てになってしまいます。これは怖い。虐待などの事故が起こるのは、施設が閉じているときなんです。

ケア21は介護施設「たのしい家」を大都市圏中心に展開中。地元住民などに開かれた施設運営を心掛けているという