大阿闍梨の強いメンタリティーはどこから来るのでしょうか。

塩沼:信じて疑う心なし。これに尽きます。どんな困難に追い込まれ、例え100ある情熱のうち99が消えかけても、残る1では大丈夫と信じ切る強い精神が、死にかけた自分を跳ね返すのです。

 今、多く経営者とのご縁がありますが、そのなかで感じるのは、やはり名経営者は運を持っているということです。では、その運はどうやったら持てるかというと、プラス思考、つまりポジティブ精神です。絶対に信じて疑う心なし、という気持ちが、物事をプラスに転じていくわけです。

どんなに困難に追い込まれても信じ続ける

 また、「念ずれば花開く」という言葉もあります。念という漢字は「今の心」から成り立っています。今の心がプラスであれば、その心によって必ず物事がうまく運ばれます。運ばれるという字は運、運そのものなのです。

2003年に仙台市秋保に慈眼寺を開いた

先が読みにくい時代となりました。経営者はどんな視点を持つことが大事でしょうか。

塩沼:常に最悪を考えておくことだと思います。人には見せずとも、ビクビクする自分、弱い自分を持っていることです。それは心の弱さということとは違います。

 調子のいい時こそ、有頂天にならずに、自重し、常に何かあるぞと備えておくのです。いい時こそが闇の中なのです。ビクビクしていれば、わずかな変化にも敏感に気付き、反応することができます。これがやがて、先を見る目につながっていくのです。

 山を歩く日々でも同じでした。1000日の間には、調子のいい日と悪い日があります。調子がいいと感じるときについ飛ばしてしまうと、体調が悪化してきたときに一気に疲れがたまってしまいます。ですから調子のいい日ほどスピードを控えめにして調子の悪い日に備え、長い修行を成し遂げる力を蓄えていました。

 全社員を怪我なく、安全に、疲れなく目的地まで運ぶのがトップリーダーの心得ですから、調子の悪いときに備える意識が必要です。

 もうひとつ、今日より明日、明日より明後日、と常に自分をクリエイトしていくことも大切です。今の会社の姿と、明日の会社が一緒だとお客様は飽きてしまいます。

 安住を望むなら、常に進化しなければなりません。経営者だけではなく、社員にも同じことが言えます。そのためには、お互いがリスペクトし、常に考えや意見を伝えられる環境がものすごく大事です。

 例えば、マイナスの事しか言わないメンバーがいるとします。その場合、直接声をかけるのははばかられますが、その人も会社の一員として何かの役割があります。ですから、話の核心には入れなくても、どんどん対話し、議論し合って、納得してもらうことが大切なのです。

 私も、住職として慈眼寺という組織を率いていますが、周りに辛口のブレーンがたくさんいます。
 ああそうかと互いにクリエイトしながら成長していく。自分一人でなく、社員と情報を共有し、リスペクトしたうえでクリエイトできる組織は伸びていくと思います。