それと、これもよく言うんですけれども、例えば自動車産業ですと、1つの大きな会社さんがあって、その下に言葉は良くないかもしれませんが1次下請けさん、2次下請けさんがあり、裾野がだんだんと広がっていく構造になっています。しかし、我々の光産業は、ある意味、逆ピラミッド。ボトムに我々がいて、我々の要素製品、モジュールを作ってくださる方がいて、そのモジュールを使ってシステムを使う方々がいる。そして、システムからサービスへと上に行くほど広がっていく扇形になっている。
だとすれば、我々はどう伸びていったらいいか。この扇の角度を広げていくしかないんです。具体的には、新しい応用分野を次々と見つける。モノをいかに効率的に作るかを目的にするのではなく、そのもっと先、どの分野の、どんなお客さんが我々の要素製品を見つけて使っていくのかと。そこを考えないといけない。

若い社員と「未来」を語りながらやっていく
目指されている経営者や理想とされる経営者はいらっしゃいますか。
晝馬:特に考えたことはありません。というのも、私自身がどうのこうのというのではなく、社員の皆さんと一緒に、この会社を発展させていこうと思っていますから。
日常的に相談する相手としては副社長がいて、もう82歳になるんですが、会社設立当時からずっと支えてくれています。会長が外から新しいビジネスを持ってくるとしたら、副社長は日本にいて会社をしっかりとまとめてきてくれた。二人三脚でここまで会社を伸ばしてきたと言ってもいいと思います。
そんな2人に比べれば、私は経営者としてまだまだ新米ですから、副社長の意見を参考にすることもあります。ただ、大事なのは、浜松ホトニクスを将来的にどんな会社にしたいか、というビジョンでしょう。その点に関しては、私と同じぐらいか、ちょっと下ぐらいの人たちを各部署から2人ずつ、合計で十数人選んで「理事」というポジションをつくり、彼らと月に1回、お昼を食べながら会社の将来について話し合っています。
理事の下には分科会を設け、そこで話し合った内容を再び理事メンバーに諮る。そして、それを常務や代表権を持つ方々と話し合い、最終的には取締役会で決定する。ちょうど今、そんなふうにして現場に近い人たちの声も聞きながら、私自身が接着剤となって経営層と結び付ける新しい意思決定の方法にも取り組んでいるところです。
(構成・曲沼美恵)

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