後継社長就任の要請を、いったんは断られたそうですが。

晝馬:私の父である先代社長(輝夫氏・現会長)は非常にカリスマ性のある経営者でした。本当にもう、社員をぐいぐい引っ張るタイプの社長だったんです。しかし、私はその息子といっても、全然違うタイプの人間でして、カリスマ性なんて持ち合わせていないんです。

 もう6年前になりますが、取締役の皆さんから社長を引き受けてほしいと言われたとき、正直言って、私は「できる」とは思っていませんでした。ずっと米国で仕事をしてきた人間ですので、日本の本社を率いるのは無理だろうと。ですから初めはお断りしたんですけれども、皆さんに説得され、最終的には引き受けることになりました。

社員の力を合わせる接着剤になれればいい

 考えてみますと、私自身に能力はなくても、うちの会社は本当に優秀な人たちがたくさんいて、それぞれが役目を果たしてくれている。そういった方々と話し合いながら、いわゆる足し算の考え方で経営をしていけばいいと思ったんですね。

 先代はとにかく1人でグイグイ引っ張っていくタイプでしたが、そうでなくて、一人ひとりの能力、これを足し合わせれば恐らく先代1人で引っ張っていた時代よりももっと素晴らしい仕事ができるかもしれない。私としては、そういった皆さんの力を合わせる接着剤になれればいいというふうに思って、会社を引き受ける決意をした次第です。

 浜松ホトニクスは恐らく、あと5年、10年は自動操縦みたいな感じでやっていけるでしょう。しかし、創業100年を目指すなら、どういう改革をしていかなければならないのか。会社の理念を引き継ぎながらも、さらに進化していく、しなければいけない。そこにきっと私は貢献できるんじゃないかなと思ったわけです。

具体的には、どのような方向を目指すおつもりですか。

晝馬:とにかく光の応用、光の原理を追求していく。ここはまだまだ、いろいろな相乗効果で伸びていく分野だと思っています。

 特に最近言われているIoT(モノのインターネット)では、センサーが非常にたくさん必要になってくる。医療用測定機器で言えば、これまでは大きな製品が中心でしたが、それが、だんだん小型化されていく。患者さんが装置のところに行って検査していたのが、逆に装置がポータブルになって患者さんの元で計測する。すると、すぐさまそのデータがクラウドに上がって、管理される。そういうふうになっていくと感じています。

 そうした流れに呼応して、もう少しモジュール的なものを作ってほしいという要望が多く寄せられるようになってきました。センサー単体だけでなく、光源とセンサー、あるいは光学系を組み合わせたようなものを欲するお客さんが多くなりました。極端に言えばスマートフォンに入るようなセンサーはやはり、モジュール的なものでないといけませんから、そういったものを提供していくのも我々の役目ではないかと思っています。