A:増田さんに質問です。今の百貨店はどう変わっていけばいいと考えていらっしゃいますか。

増田:百貨店という言葉の中に「ちょっと時代遅れ」という感覚、あると思うのです。だけど「お客さんから信頼される」「お客さんを大事にする」「商品も大事にする」「後々のケアをきちんとやってくれる」、こういう財産は百貨店ならではのもの。そこをベースに、新しい小売業のあり方を創っていけばいいと思います。

 それと、百貨店は「生活提案」ということが最も期待されている業種。そこにきちんと応えたら、新宿店のように、たくさんのお客さんが訪れる場になると思っています。

B:富裕層の方へのサービスという点について、どう考えていらっしゃいますか?

大西:もともと百貨店というのは、一人のお客様に対して、今で言う「お得意様営業担当」が付いていたのです。そして、日常の食品から高額の宝飾品まで、生活全般にかかわらせていただいていた。

 それがいつの間にか減ってきている。ただ今後、そうした一人一人のお客様に対して、モノだけでなく、たとえば老後のこと、旅行のこと、財産のことなどすべてにわたって、何らかのかたちでかかわっていくことを、真剣に考えなければと思っています。シニアに向けた医療モールとか、いろいろな新規事業を考えているところです。

増田:僕個人の経験で言うと、数年前に某百貨店の外商さんを紹介されたことがあります。ちょっと変わった人でしたが、本当に全部やってくれる。僕のように、仕事ばっかりで時間がない、素敵なお金の使い方もわからない人にとって、そこをサポートしてくれるのが、百貨店の外商さんだと思います。

 ただ、大西さんがおっしゃったように、今のお客さんをキャッチアップできていない。別荘、ゴルフの会員権、アートといった売り方ではなく、その人のライフスタイルにふさわしい別荘やゴルフをお薦めする。そこの目利きだと思います。

C:目利きの育て方については、お二人はどうお考えですか?

大西:大半の場合、お客様の方が良いライフスタイルを経験されているわけで、社員も身を持って、それを知らなければダメだと思っています。

 当社では、スタイリスト(販売員)への表彰制度を設けていますが、表彰された人には、たとえばパリに行って、5つ星、6つ星のホテルに泊まって、3つ星のレストランに行って、多くの美術館を訪ねることなどができるようなことを賞として提供したいと考えています。そういった感覚を身に着けておかないと、「お客様に提案」なんてことはできないですから。まずは少しずつ、制度を整えていくということです。

増田:僕も世界の一流の情報に触れないと、提案なんてできないと思う。だから、三越伊勢丹の社員さんに、うちが銀座で準備しているアートの書店に出向してもらって、一緒に勉強してもらうとか。あるいは、買い付けに行く時に、一緒に行くとか、目利きを育てるという意味でもご一緒したいと思っています。

川島:今日は、すっかりお二人が意気投合されている様子がびんびん伝わってきました。これからの具体的な活動に期待しています。どうもありがとうございました。