組織が「大企業病」になっていくのは当たり前

川島:お二人の話をうかがっていると、ビジネスの本質に触れることばかりで勉強になります。しかもブレるところがないので、厳しいけれど腑に落ちるし、ヤル気も湧いてくる。でも、大半の社員は、こうやって直接、お話を聞く機会がないわけで。「トップの思いというのは、なかなか伝わっていかないもの」と思うのです。

大西:おっしゃる通りですね。

川島:でもそこが伝わっていったら、多くの仕事はもっとスムースになると思うのですが、どうしたらいいのでしょうか?

大西:実は、もう少し伝わっていると思ったのですが、先日、全然伝わっていないと痛感した事例があって、物凄く反省したのです。これは私の責任が大きい。きちんと伝える場を増やして、具現化していくことが必要だなと。

川島:増田さんはいかがですか?

増田:そんなの伝わるはずがない。だって、目の前にお客さんがいるのに、それを置いておいて、いちいち社長の言うことばかり聞いていたらダメだと思うから。一方で、必要な人には、経営の考え方を伝えていかなければならない。これも大事なことです。

 ただ、会社というものは、大企業病になってしまうもので、僕はそれは当然のことだと思っている。成長して、大きくなって、リッチになって、有名になったら「大企業病」になるに決まっているのだから。いかにそうならないように努力するか、そこを考えるのが経営陣の仕事だと思っています。

川島:具体的には、どんな努力をなさっているのですか?

増田:情報が必要な人には、とことん伝えていくこと。とともに、経営陣が「今月は何をするか」「来月は何をするか」といったことを、具体的に約束していくことです。

大西:私が最も辛いと感じるのは「三越伊勢丹ほどの規模の会社が」と言われることです。売り上げや利益で言うと、当社は別に大企業ではないわけです。ですから、社会的に大企業と言われることで、自分たちが勘違いしてしまっているところがあるのではないかと。

 つまり「大企業じゃないのに、大企業病に陥ってしまっている」。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、「経営者としてどんな企業にしたいか」と問われたら、「従業員全員が、この会社にいて良かった」と誇りを持って答えられる会社にしたい。これは本音です。

川島:では、お互いの会社に対して、「もう少しこうなって欲しい」というところを、教えてください。

大西:何でしょうね。増田さんのリーダーシップが物凄いので、恐らく従業員の方が、それに付いていくのが大変なのでは(笑)。トップがこれだけ強いと、中間でバランスを取っていく人が重要な役割を果たすのではないでしょうか。僭越な言い方ですが、企業としての課題は、そこにあると勝手に想像しています。