三越伊勢丹とCCCでマーケティング企画会社を作る
大西:いや、本当に当社はまだまだ、足りないところだらけです。
増田:逆にうちも、かっこいいことばかり言っているように聞こえるかもわかりませんが、実態は大したことないのです。だって「ファッションのことをわかる人間が社内に何人いるのか」という話です。もしかすると、三越伊勢丹さんにないものを、僕らは持っているかもしれませんが、逆に僕らが持っていないものを、三越伊勢丹さんは持っている。
だから、僕らも三越伊勢丹さんから学びたいこと、大西さんから学びたいことがたくさんあるのです。単にビジネスの話だけでなく、人的交流もやっていきたいと思っています。
川島:何だか男性同士の相思相愛ムードです(笑)。具体的には、何からスタートするのですか?
大西:まずはマーケティングの会社を一緒に作ります。CCCさんが持っている約5700万人のデータと、当社が持っている約280万人のデータを活かしながら、どれだけ細やかで魅力的なライフスタイルを提案できるかをやっていきたいですね。それも、量ではなく、あくまで質でという話です。

増田:これからの時代は、ひとつの生活提案じゃ、全然間に合わないわけです。エルメスが好きな人もいれば、ユニクロが好きな人もいるし、両方を組み合わせてしまう人もいる。その人たちそれぞれに「ワオ!」と言ってもらうには、データが物凄く重要なわけで、そこのところを、三越伊勢丹さんのデータとうちのデータを掛けあわせてできたら、ちょっと凄いことになると思っています。
川島:なるほど。夢のようなお話で、もしそれが実現して、私に向けたライフスタイルが提案されたら、まいっちゃうと思います。ところで、そのライフスタイルについてですが、生活提案とかライフスタイルという言葉、よく使われると思うのですが、実際のところ、商品や売り場で表現するのは、簡単なことじゃないって思っているのです。お二人は、生活提案という言葉を、どのようにとらえているのでしょうか?
大西:大前提として、個人のライフスタイルというのは、あらゆることにかかわっているわけです。朝起きてから夜寝るまでの暮らしの中でかかわるモノとコト、という風に限定できるものでもない。それが、たまたまモノであったりコトであったりということで、大きく言えば、コンテンツということです。
つまり、当社にとっての生活提案とは、自分たちが持っているコンテンツを編集してお客様に提案し、新しい経験をしてもらえる空間や環境をつくっていくことです。そんなシンプルなことなのに、まだ全然、やれていないわけで、これは大きな課題だと思います。
川島:増田さんにとっての生活提案とは?
増田:たとえば「Airbnb」、あれも掘り下げていくと、1つの生活提案だと思うのです。だから、生活提案というのは、多様化した価値観に対して、一歩先あるいは半歩先を提案することではないのかな。
Powered by リゾーム?