大西:せめて若い人がやることの邪魔をしなければいいのではないでしょうか(笑)。

川島:なるほど。どちらも厳しい社長さんです(笑)。ところで二人の馴れ初めは?

増田:数年前の春に、「Tポイントの採用をお願いしたい」ということで、お会いしたのがきっかけでした。こちらからの売り込みだから、相手によっては、氷の壁にボールを投げるかのように拒絶されるケースもあるのですが、大西さんはしっかり受け止めてくれました。

大西:驚いたのは、増田さんのプレゼンテーションでした。今まで見たことがないような分析で、かつ提案が明快。ぐっと惹き込まれてしまったのです。それで、こういう会社と組むことは、とても大事だと思いました。

川島:一緒に始めることに対して、社内で反対意見はなかったのですか?

大西:「Tポイントと組むのはちょっと難しい」という意見が、案の定、出てきたのです。そういう時、最初から否定するのではなく、本来的な意図を踏まえて検討する。今までやっていないことだからこそチャレンジする。そういう発想こそが大事と思っているのですが。常にチャレンジを続けてきたCCCさんと当社は、そういうところが違う。お付き合いを通じて、良い刺激を受けたいと思っています。

「スピード感とチャレンジがまだまだ足りない」(三越伊勢丹ホールディングス 大西 洋社長)
「スピード感とチャレンジがまだまだ足りない」(三越伊勢丹ホールディングス 大西 洋社長)

三越伊勢丹は企画力に欠けている

川島:増田さんは、三越伊勢丹と組んで、どんなことをやっていきたいのですか?

増田:大きく言えば、2つのことです。CCCは企画会社ですから、「三越伊勢丹さんが世界で一番、生活提案力のある百貨店になること」、それと「世界で一番、データベースマーケティングをやっている百貨店になること」。そのための企画のお手伝いをさせてくださいとお願いしたのです。

大西:われわれの原点は、常に「お客様のため」にある。だから、「お客様のため」の企画は、本来、当社の強みなのですが、スピードアップした今の世の中に、付いていけていないのではないかと危惧しているところがあって、そこをご一緒させていただければいいなあと。

川島:大西さんは、三越伊勢丹は企画力に欠けていると思っていらっしゃるのですか?意外ですが、いつ頃からそう思われていたのですか。

大西:社長になる前からです。企画力があれば、新しい提案が出てきて、それが評価を得て、結果的にお客様が満足する。でも、そういう事例が減っていると感じていたのです。

川島:それに追いつかないくらい、世の中の変化のスピードが速いということかもしれません。増田さんのお話にも、企画という言葉、たくさん出てきますが。

増田:僕は、企画とは「顧客価値」だと思っています。商品であっても、サービスでもあっても、お客さんが、思わず「ワオ!」って言ってしまう。それを創るのが企画なんです。ネットで自由にモノが選べて買える時代に、百貨を並べて「モノがあります」と訴えかけても、お客さんは「ワオ!」と言ってくれないと思うのです。でも、大西さんはそこに気が付いておられるから、「ファッションミュージアム」というコンセプトを新宿伊勢丹で掲げているわけで。ご一緒することで、面白くなっていきそうです。

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