みんなはまだ、心配していると思います

川島:その中期経営計画の中に、文房具のコクヨS&Tとオフィス家具のコクヨファニチャーを、コクヨとして統合するストーリーは組み込まれていたのですか。

黒田:入れていました。お客さんから見た時にどうなのかと考えると、分かれていることが、成長の後押しをするとは思えなかったから。統合した方が、企業を成長させていくに違いないと思ったのです。

川島:でも、別々に働いていた会社の社員が、ひとつになることに対して、ネガティブにとらえることって多いじゃないですか。自分たちの将来はどうなるんだろうって不安もあるし。

黒田:だから、今は事業本部ごとに組織を分けているのです。とともに、一緒にならなきゃいけないのではなくて、一緒につながって仕事をする理由を、きちんと理解してもらった上で、実行していく手順が必要と思っています。それも一気呵成ではなく、「この部分は一緒にやる」を段階的に作っていくこと。どれだけ明るい未来が見えるかということを、皆で確認しながら進めていくことを大事にしています。

川島:明るい未来が見えるって、社員にとって嬉しいことです。

黒田:逆に言えば、明るい未来を暗くしている理由がいくつかあるわけです。そこを順番に解決していかなければいけないのですが、暗くしている理由を明らかにすることって、社員は怖がるわけです。はっきりさせると、自分たちの余生というか、死期を指摘されるように感じるようで。ただ、そんなことを言っていても仕方ないので、全部引っ張り出した上で、何をしなければならないかを具体的にやっていく。これを徹底するしかないと思っています。

川島:社員の反応はどうですか?

黒田:統合して約半年ですから。正直言って、みんなはまだ、心配していると思います。悪く言うと、お手並み拝見かもしれません(笑)。

「働く・学ぶ」だけではなく「生活する」を視野に入れる

川島:社長になられて、何か新しいスローガンとか、掲げたのですか?

黒田:半年経った昨年の10月、「将来にわたる企業のありたい姿、3カ年における基本方針」というものを定めました。『コクヨは、商品やサービスを通じて、より良い仕事や学習、生活(Quality of Life)のために、人々の創造性を高めていく価値を提供することにより、社会に貢献するLife & Work Style Companyを目指す』としたのです。とともに、『価値創造にこだわる自己改革』を掲げ、顧客本位にこだわった価値創造を実現する“運営モデルの改革”と、中長期の持続的成長を可能にするための“収益体質のつくりこみ”を行っていくと決めたのです。

 でもうちの会社、こういった理念的なものを変えたことがないので、社員の人たちは、ちょっと戸惑っていますね。「これはどういう意味なんですか?」「どう取り扱ったらいいんですか?」といった具合です。