文房具や家具を通じ、私たちにとっても身近な企業であるコクヨ。創業110周年を迎えた昨年、黒田英邦さんが新社長に就任した。39歳の若さで代替わりしたこと、それが、前社長が先々代から受け継いだ年齢と同じことなどが取り上げられた。

 就任後、コクヨS&Tとコクヨファニチャーをコクヨとしてひとつに統合。歴史ある企業の新しい扉を開いた。新たな企業理念や基本方針に込めた思い、その背景にある現状の課題への認識などを、新社長に尋ねた。

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社長になる前に出された宿題とは?

川島:ところで「社長になりなさい」という通達は、いつ、されたのですか?

「社長になるに当たっては、“宿題”を課せられていました」(写真:鈴木愛子、以下同)

黒田:2年前の10月です。前社長と有識者の方々で構成された人事委員会というのがあって、そこでの決定が取締役会に答申され、最終的には株主総会で決定される。そういう手順を踏みました。ただ、その1年くらい前に、経営陣から、実は宿題が与えられていて。

川島:どういう宿題ですか?

黒田:全社を見据えた中期経営計画を立てるという宿題です。

川島:それは大きな課題ですね。

黒田:その経営計画、僕は必死になって、今のコクヨの課題はここにあって、こういう風にしなければならないということを、外部の方や社員の力も借りて、四苦八苦しながら作ったのです。それが、半年前に発表した、2016年から2018年度までの3カ年の中期計画『Value Transformation2018』の土台となったものです。後から知らされたのですが、これは、僕に社長をやらせていいのかどうかの判断材料のひとつだったとか。僕が社長になったのは、出来レースというか、決まっていたことではと、よく言われるのですが…。

川島:そうではなく、社長になるための試験みたいな関門があったのですね(笑)。

黒田:いや、これだけで決まったわけでもなく、中期経営計画が承認された段階では、僕が社長として遂行するかどうかも未定だった。この経営計画を、いつまでに誰がやっていくのかという議論が随分となされ、たとえば外部人材を引っ張ってくる案などもあったようですが、結果として、発案者にやらせようということになった。それでようやく、僕を社長にする決定がなされたのです。最後まで「本当にお前はこの計画を実行できるのか」と念押しされ続けましたから、それはもう、物凄いプレッシャーでした。