更新しないと資格は5年後に失効

医師免許は取れば一生安泰ですが、中小企業診断士は違うんですか。

松浦:我々は5年に1回更新がありますので、研修を受けたり、論文を提出したりしてポイントを貯めないと、5年後に資格がなくなってしまうんです。

小林:休止者がけっこう多いのが実態です。資格を取った人は全体で2万4000人ぐらいいますけど、そのうちの3000人か4000人ぐらいは資格を更新していません。

更新費用っていくらかかるんですか。

松浦:研修は1回4時間で、受講料が6000円かかります。5回あるから全部で3万円ぐらいでしょうか。

そのための時間だって大変ですね。

小林:半日つぶれます。

その費用は会社が払ってくれるんですか。

土屋:(NECは)ないですね。

松浦:ウチ(アサヒビール)も自腹です。

名刺にこの「中小企業診断士」という小さな文字を維持するために、資格を取った後もお金と時間を投入しなければならない。

松浦:極端に言うと、そういうことです。維持するために自分で費用を払わなければなりません。

それでは割が合わなくないですか?。いっそのこと、独立して活躍しようという人はいないんですか。

土屋:私と同世代の診断士は3年ぐらい前にNECを辞めて、独立して活躍しています。先日、診断士向けの雑誌で年収が3000万円を超えていると書いてあってびっくりしました。

 彼は社内でも有名で、コンサルティングの事業部にいたので、もともとそういう資質があったんだと思います。でも、独立した人すべてが成功できるとは限りません。

松浦:診断士を取った人のうち7割ぐらいは企業内にいます。みんな怖いんですよ。資格を取るのは頑張ったんだけど、本当に辞めてそれだけもらえるか。

なんだかんだ言っても大企業の恵まれた立場を捨てていいのか、と。家族や住宅ローンも抱えているし。

松浦:そこはみんな、結構悩んでいますよ。まあ、でも短期的に捉えるだけではなく、退職後の人生も含めて考えていくべきじゃないかと思っています。

 中小企業診断士になったメリットとして明確なことは、普段の仕事ではけっして知り合わなかったような人々とのネットワークができたと言うことですね。

土屋:それはありますよね。

サラリーマンというのは、退職して名刺がなくなった瞬間、存在がなくなってしまう人も多いですからね。

松浦:ここで人脈を築いておけば、あのとき一緒に苦労した土屋じゃないかとか、小林じゃないかということで、何か次に新しいビジネスを始めるとか、コンサルをするときにも横のつながりが強いんです。これが企業の名刺だけでやっていると、やっぱり浅い付き合いになってしまうと思います。なかなかネットワークが広がらないんです。

 しかも診断士という資格を持っていると、レベルといいますか、例えば言葉でもなかなか異業種の人と言葉って合わないんですけれども、この辺のキーワードがみんなある程度一定のものを持っているので、話がスムーズにつながります。スポーツと同じで、パスを出すときにボールがスパッと通るイメージです。

 これが異業種交流でも、一般的にやると、まず自己紹介だけで1日終わっちゃう。これは圧倒的に違うなと思いますね。だから、中小企業診断士のプラットフォームがある程度出来上がっているのは大きいと思います。

資格の名称に「中小企業」と付いていますが、中小企業診断士の業務は何も中小企業だけに限定されたものではありません。つまり活躍の場はいくらでも広がるのですから、皆さんの今後の活躍を期待しています。