中小企業診断士の資格を持っていると、商店街の方々とより深く話をすることができるようになるんですか。

土屋:なりますね。名刺もNECとは別に持っていますので。

商店街の人からすると、NECの名刺を出されたら「パソコンでも売りに来たのか?」と思われてしまいますよね。

土屋:この名刺を出すときは、NECの土屋ではなく、中小企業診断士の土屋として活動します。

会社的には、問題はないんですか。

土屋:会社の人事部には、事前に確認しました。当社にも兼業制限みたいなものはあるんですけど、基本的に会社の事業と競合しないとか、会社に迷惑をかけないとか、本業をちゃんとやるとか、そういう条件を満たせば、基本的にオーケーということでした。であれば、診断士として私が活動することが社会の課題解決につながり、なおかつ社内に還元できることもある。であれば、診断士として積極的に活動していこうと考えています。

小林:国家資格である信頼感は私も感じます。商店街に行っても、普通のコンサルなんかよりは、国家資格を取った診断士の方が安心感とか信頼感があるので、話のスタートがまるで違いますよね。

国が認めた唯一のコンサルタント資格

名刺交換した際、「誰だ、こいつは?」と思われるんじゃなくて、ちゃんと国が認めた人だと安心してもらえる、と。

松浦:コンサルの会社はいっぱいありますけど、国が認めたコンサルタントって、この資格しかないので。そこが分かっている人はすごく価値を感じていただけますよね。

コンサルタントとして社外で活動するだけでなく、自社の中で活躍することはできないのですか。自分の会社に経営指南するのは難しいとしても、診断士の立場から自社の事業戦略を考える、とか。

松浦:アサヒビールの診断士会では過去数年、挑戦してきました。まずはグループ内の企業の診断をしようということで、例えばアサヒグループの中で、チルド飲料事業を手掛ける「エルビー」(17年12月にアサヒグループホールディングスからポラリス・キャピタル・グループに売却)などで、数カ月間密着してマーケティングとか販売戦略の立案のお手伝いをしました。社外でコンサルタントとして仕事をするには何よりも実績を求められますので、よい勉強の機会になりました。

中小企業診断士の資格を取って、企業の社長になった人はいますか。

土屋:私が知っているのは西武信用金庫の方ですね。理事長が西武信金の中で初めて診断士を取ったんですよ。それからご自身がトップになってから、西武信金の中で診断士の育成をされています。たしか、西武信金には三十数名の診断士がいらっしゃるはずです。

 地方銀行の中で診断士を持っている方は結構いらっしゃいます。地域の中小企業向けの融資なんかをする場合、診断士の資格が生きる場面が多いからです。

お話を聞いていると、皆さんは中小企業診断士の資格を取って、十分に生かされているんじゃないですか。

松浦:結局、大事なのは資格を取った後なんですよね。

 多くの企業は中小企業診断士の資格は会社でも役に立つから、資格を取ることは推奨してくれます。試験の費用などを補助してくれる会社もあるでしょう。でも資格を取ったら年収がアップしますかというと、あんまりそこは関係なくて、資格を使って業務でパフォーマンスを出さないといけません。

会社の言い分としてはそうでしょうね。せっかく資格を取ってスキルが高まったら、業績も上がって、そうしたらボーナスも多く払うぞ、という話になるわけですね。

松浦:そうなんですよ。だから、取って終わったらだめなんですね。取ってそれをいかに自分の業務に生かすか、あるいは社外で経験に生かすかして磨いていかないと。結構取るまで大変だけど、取った後、いかにブラッシュアップするかが難しかったりするんですよね。何もしないと、さび付いてきますよね。

土屋:きますね。