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21世紀の軍事衝突は、従来型の物理攻撃とサイバー攻撃を組み合わせた「ハイブリッド戦争」が当たり前になった。日本と緊張関係にある中国や北朝鮮、領土問題を抱えるロシアを含め、50~60の国・地域がシステム破壊や諜報を目的にサイバー攻撃能力を磨く。遅ればせながら、日本でも自衛隊によるサイバー攻撃を想定した議論が煮詰まってきた。政府は12月に制定する「防衛計画の大綱」にサイバー反撃能力の保有を明記する方向で検討を進めている。自民党で議論の旗振り役となり、提言を取りまとめた中山泰秀衆院議員に構想を聞いた。(聞き手は吉野 次郎)
中山泰秀(なかやま・やすひで)
衆議院議員。1970年大阪府生まれ。成城大学法学部を卒業。電通勤務を経て、2003年の衆議院選挙で初当選。07年に外務大臣政務官。10年に早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程修了。14年に外務副大臣。現在、自民党の安全保障調査会と治安・テロ対策調査会の副会長を務める。FMラジオ局「Kiss FM KOBE」で毎週日曜深夜に放送する「やすトラダムス」のパーソナリティーを担当。当選5回。

自衛隊によるサイバー攻撃能力の保有を目指す狙いは何ですか。

中山泰秀氏(以下、中山):サイバー空間は陸海空に並ぶ戦闘領域です。ハイブリッド戦争を仕掛けてくる非友好国は、陸海空からの武力攻撃と、サイバー攻撃を必ず組み合わせてきます。日本もサイバー空間で防御のみならず、反撃する能力を持つ必要があります。敵国が日本からの反撃を心配することなく、一方的にサイバー攻撃を仕掛けられる状況は不利です。

専守防衛の原則との整合性はどう取りますか。

中山:反撃としてのサイバー攻撃は先に相手が動くことを前提としており、専守防衛の原則には反しません。日本を標的にサイバー攻撃を仕掛けるのを思いとどまらせる抑止効果も期待できます。

自衛隊によるサイバー攻撃を可能にするにあたって、制度面ではどのような整理が必要ですか。

中山:考え方はいくつかあります。差し迫った危機にやむを得ず対処する場合に、違法性を問われない「違法性阻却事由」に基づき、サイバー攻撃を認める方法が一つです。またいずれ自衛隊が反撃可能な外国からの武力攻撃の中にサイバー攻撃を追加する必要があるかもしれません。

 政府は現在、外国の軍隊が上陸したり、弾道ミサイルを撃ってきたりするなど4つのパターンを反撃が可能な外国からの武力攻撃と位置づけています。ここにサイバー攻撃を加え、ハイブリッド戦争に備えます。今後、制度面での議論を詰める必要があります。その間も、自衛隊の現場ではサイバー攻撃の訓練に励んでいます。ただ日本のサイバー部隊はまだ組織が小さく、ロシアや中国などに匹敵する数千人規模に育てないといけません。