こうした苦しい状況の中、中東から流入する難民がさらに増え続けています。米国がNATOへの関与を弱めれば、中東紛争の解決はさらに遠のくからです。難民の増加は、EUの結束をさらに困難にするでしょう。

世界の主要国が内向きになっていくと。

1930年代のブロック経済に似てきた

菅野:1930年代にブロック経済が広がりました。この状況に似ていくと思います。拡大を続けてきたEUも、当面はEUという枠組みをどう維持するかが最大の課題となるでしょう。

 もちろん、EUがすぐに解体してしまうとは思いません。しかし、その結束がかつてないほど揺らいでいるのは間違いありません。その行方を占ううえでも、来年の欧州各国での選挙は注視しておく必要があります。

EU離脱を決めた英国は賢明だった?

菅野:結果的に、英国のEU離脱決定は時代の流れを映し出していると言えるかもしれません。もちろん、離脱した英国も課題が山積していますから、英国の判断が正しかったとは言い切れませんが、これからの時代を象徴する変化であることは間違いないでしょう。

 保護主義が世界的に広がる今、多くの国の政府が姿勢を大きく変化させています。最優先すべきは自国民である、自国の経済である。自国のことは自国で守り、利害関係が一致する相手とは個別に交渉する。そんな潮流が当面は主流になるでしょう。

 そこには、大国や巨大な連合の傘の下で守られたセーフゾーンはありません。私は、この変化を「ニューノーマル」と呼んでいます。グローバル化の時代から次のフェーズに完全に移ったと言えるかもしれません。

 こうした時代の中でどう立ち振る舞うか、日本も自ら考えなければならないと思います。