四当五落?睡眠時間は何時間が適切か?

睡眠時間は何時間取らせるべきでしょうか。昔は「四当五落」なんていう言葉もありましたし、先生はどのようにお考えですか。

西村:睡眠時間に関しては個人差が激しいので、何時間寝ればベストということは言えないことが分かってきました。6時間寝れば十分な子もいれば、8時間寝ても眠くてしょうがないという子もいます。

 これは私が読んだ本の受け売りですが、どのくらい寝るべきかというのは各人の遺伝子段階で決まっていることが多いようです。つまり、いくら訓練してもこれを短くすることができないというのが、今主流になりつつある学説のようです。だから大人でも2~3時間の睡眠で大丈夫という極端な人から、9時間寝ないとだるくてしょうがないという人までばらついています。要するに、睡眠も個性に合わせるべきということです。

 だから昼間、眠くならないように睡眠時間を確保するのが大事です。ポイントとしては、寝る時間と起きる時間を常に一定にしておく。

夜型の子供の場合、いつ頃から朝型に切り換えた方がいいのでしょうか。入試の多くは午前ですよね。

西村:大半の入学試験は午前9時から12時ぐらいまでです。午前中のその時間に最も集中力が高まるように体のリズムを整えてあげるべきです。そうすると起きる時間は3時間前の6時がベストです。起きて3時間くらいたたないと、頭が本調子になってくれませんから。

 夜型から朝型に変えるのは、ぎりぎり1カ月前で大丈夫です。それぐらい期間があれば、体の方が徐々に夜型から朝型に切り替えることもできます。塾の帰りが遅いなどの理由で夜型になってしまっているお子さんも、年内は今のままで構いません。

保健室受験はラッキー!?

受験直前になって体調を崩すのは体力的にも精神的にも大きなダメージです。特にインフルエンザは完治するまでに時間もかかります。

西村:それを避けるために、ワクチンは絶対、打つべきですね。私は、毎年打っています。

 インフルエンザワクチンは打っても、痛いわりには効果がないという説もあります。ただ、たとえインフルエンザにかかっても重症化を防ぐ効果はあるようです。また、ワクチンを打ったからインフルエンザにかからないという安心感の方が大切でしょうね。

 何よりも大事なことは、あんまり神経質にならないことです。過去、インフルエンザにかかってしまって、熱が39度近くあっても受験会場に行った子を私は何人も見ているんですね。実は、保健室受験というのは意外に合格するんです。

知りませんでした。

西村:特に女の子で保健室で受験して落っこちた子って、私は知らないんですよ。発熱によってパワーが増したのか、頭がぼーっとしている分だけ緊張感が高まらずにすんだのか、それはよく分かりません。逆に、男の子の保健室受験はちょっと怖いですね。

 何も保健室受験をおすすめしているのではありませんよ。直前にインフルエンザになっても、保健室受験すればいいんだからと割り切ればいいのです。意外と、いつも以上の実力が出ちゃうぞと、お子さんに言ってあげれば安心しますよ。

 保健室受験ができること自体があまり知られていませんので、受験する学校には事前に聞いておいた方がいいでしょう。

運動不足に注意、頭への血流が減ってしまう

食事や運動など健康面で親が気にしてあげることってありますか。

西村:食事はいつも通り、変える必要はありません。「カルシウムが多くないと落ち着きが出ない」とか「集中力を高めるためには○○を食べよう」なんていう本が出ていますけど、それよりはいろいろなものをバランスよく食べる。これでいいと思うんですね。

 健康面で言えば、受験生にとって一番の問題は運動不足になりがちだということ。運動不足は血流の働きを弱めるため、頭に行く血流が減ってしまう。だから勉強の合間に軽い運動を必ず入れていく方がいいですね。

どの程度の運動をすればいいんですか。

西村:あんまり激しくやる必要はありません。最大心拍数の8割ぐらいの負荷をかけてあげる。ゆっくりとした駆け足を15分から20分間。もしくは早歩きするとかそのぐらいの運動です。ラジオ体操もいいですね。

 マンションにお住まいの方には、10階分くらいを歩いてのぼってから勉強することをおすすめしています。ちょうど息がハーハー言うぐらいですね。別に早くのぼる必要はなくて、ゆっくりでいいから上がる。それを2~3時間に1回ぐらい、休憩を兼ねてやる。受験前は1分でも時間が惜しいと思われるかもしれませんが、軽い運動で血流が高まった方が頭もよく働きます。

受験が終わってから2カ月間の過ごし方

最後に、受験はまだ終わってないんですけど受験後の過ごし方について。早ければ2月1日に合否が決まるので、4月に中学校に入学するまで2カ月近くが丸々と空くわけです。その間の過ごし方についてご助言をいただければ…

西村:まず中学の入学式までに、数学については中1の内容を、教科書レベルでいいから予習しておこうねということは言いますね。これまで頑張ってきた歩みを止めてほしくないし、受験勉強をやってきた子にとって、中1の教科書レベルの内容って簡単なんですよ。

 英語についても、リーダーの半分ぐらいはやっておく方がいいですね。それ以外の勉強はあんまりしなくていいんですけど、この時期にこそ読むべき本というのがいっぱいあると思います。

 そうは言っても、受験が終わったら2週間ぐらいは思いっきり遊ばせてあげてほしいですね。でも2週間もすると暇でしょうがなくなるというのが普通です。子供がちょっと暇にしているなと感じたら、じゃあ、ちょっと中学校の予習をしてみたらと声をかける。そうなると、塾に行かせるかどうかが次の問題なんですね。

え!受験が終わっても、また塾に行かせるんですか。

西村:ある学習塾は入試が終わった後、合否確認の電話が入って、合格しましたと言うと、では何月何日から中学準備授業が始まりますから来させてくださいなんて営業が入る例も実際あります(笑)。それは極端な例ですが、お子さんの様子を見ながら中学にスムーズに入れるような準備をしておいたほうが良いでしょうね。

 受験が終わった段階で、親自体が何のために受験させてきたのかということを改めて考えてほしいと思います。実は受験勉強をやっている最中もそうなんですけど、今、頑張れば後で楽ができるからと言い続けて受験に成功した子は、中学校に入ってから目標を見失いがちになります。

 私は勉強を頑張ってきたんだから、受験が終わったらずっと好きなだけ遊んでいいんだと考えるか。より難しいこと、より頑張れる環境を手に入れるために中学受験を乗り越えたと考えるか。その考え方次第で、お子さんの将来は大きく変わってくるでしょう。

 だから合格した後、よく頑張ったね、偉かったね、と言うところまで一緒です。そこから先、あなたはこれだけ頑張って来れたんだから、これからも大変だろうけど頑張れる子だから大丈夫よ、と言い続けることが必要なんですね。