でも、例えば既に世界の電力消費の55%はモーターが関係するまでになっています。電気自動車、ロボット、ドローンなどの普及でこれはさらに拡大する。そうなれば、大学ももっと早くその変化に対応していく必要があるはず。ちなみに今春日本電産には約500人の新卒が入社しましたが、モーター技術を学んできたのは3人だけでした。私は、そういう環境変化に大学も合わせていけるようにしたいと思っているのです。

日本で3位、世界で200位以内に入る

具体的にどのようにして大学を変えていくつもりですか。

永守:来年4月には学長も変わります。先生達も世界の先端的な技術の研究者などを公募制で集めています。これは30人の募集に世界から700人の応募がありました。

 一方で実業との連携を常に持ちたいとも思っていますから、産業界からも来て頂きたい。日本電産の幹部・社員に臨時講師になって貰うといったことも考えています。あるいは博士号取得後に大学などで任期制の役職に就いているポスドクの人達に来てもらうことも検討しています。

 学生には専門教育をしっかりしてもらい、英語はTOEICで650点は取らないと卒業できない位にしたい。

 英国の教育専門誌、タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが世界の大学ランキングを公表し、評価の物差しになっていますが、日本から200位以内(2017年)に入っているのは東京大学(46位)と京都大学(74位)だけ。どのくらいかかるか分からないけど、そこに入るくらいにしたいと思っています。そうなると日本では3位ということになりますが、それは目的ではありません。

こうした活動を含め、最近多額の寄付をしていますね。

永守:京都学園大学にはこれまでに100億円を寄付しました。これ以外に昨年11月には、京都府立医科大学に最先端のがん治療研究施設を寄付(約70億円)しました。また2021年度には出身地の京都府向日市に市民会館を寄贈(約30億円)するつもりです。

 大学はこれからもっと必要でしょうね。私は一代で日本電産をここまで育てましたが、そこで得たものを公共性のあることに使っていきたいと思っています。財産をそのまま子供に残そうという気はありません。

寄付を重視するのはなぜですか。納税もまた公共に生かすものですが。

永守:納税はもちろん大事なこと。何かを言うつもりはないです。ただ、自分の考えていることを実現するには、寄付の方が効果は高いと思いますね。

 すべてのことができるはずはないけれど、大学教育については力を注いでいきたいと考えています。

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記事掲載当初、本文中1ページ目で「来年度には工学部と大学院工学研究科の設置を構想しています」としていましたが、正しくは「2020年度には工学部と大学院工学研究科の設置を構想しています」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです [2018/11/01 11:50]